唐沢美帆

ARTIST PICK UP

唐沢美帆

プロデューサーとして定評のある島野聡とコラボレイト。
16歳、高校に通う普通の女の子"唐沢美帆"のデビュー・シングルは、
今後の活動を期待させるには、充分すぎる内容で届けられた。

(初出『Groovin'』2000年7月25日号)

唐沢美帆-A.jpg 最近の日本のPOPSシーンにみられる"売れる"傾向として、いくつかのキーワードがある。まず、曲のアレンジがクラブ/ダンス・ミュージックの、いわゆるアンダーグラウンド系の影響を受けていること。今更説明は不要だが、HIP-HOPやR&Bなどがその最たるもので、これらの言葉が市民権を得て久しい。次に、アーティストや歌い手の低年齢化。20歳以下は当たり前で、10代前半も希ではなくなっている。そして最後に、女性だということ。ヒット・チャート上位や、業界の話題を賑わせているのは、最近圧倒的に女性アーティスト達だ。しかし、そんな条件に合わせて多くの新人達がデビューするも、やはり残るのは、一握りの人達でしかない。
 さて、今回ここで紹介する新人"唐沢美帆"も、前述した"売れる"条件のばっちりストライク・ゾーンをいくアーティストだ。16歳高校生で、曲はR&Bテイスト溢れるPOPナンバー。そんなの今時珍しくもナンともないはず、である。が、しかし、シンプルでオーソドックスなトラックに映える彼女の初々しい歌声や、妙に大人びて単純ではなくなってしまった若い同世代達の人間関係や恋愛感情などを描いた歌詞などは、付け焼刃的に出てきた人達とは一線を画す仕上がりとなっている。
 本人の潜在的な才能もさる事ながら、やはりプロデューサーである島野聡によるところも大きいはずで、プロデュースとは名ばかりでただ単に曲を提供したというケースや、歌わされているだけの作業的な歌い手も少なくない中、彼の場合はしっかりと彼女の性格や力量を把握した上で、きちんとした、より彼女を引き立てる一番良い位置関係でのプロデュースとなっている。
 デビュー・シングルなので、まだまだぎこちない雰囲気もあるが、今後彼女の未完成な部分がどのように育って行くのか、楽しみながら見守っていきたい。と、こういう気持ちにさせてくれるか否かが、新人アーティストの合格ラインではないだろうか?

Text by 並木仁(朝霞店)

『anytime,anywhere』
唐沢美帆-J.jpg




Maxi Single
ポニーキャニオン
PCCA-01458
¥1,000(税抜)
8月2日発売

記念すべきデビュー・マキシ・シングル。しっかりしたビートに、ムーディーなコーラス。それに絡む、彼女のまだ幼さが残るヴォーカルが、ちょっぴりクールに、鼓膜とハートを刺激する。そんなに難しくはないので、あなたのカラオケ・ライブラリーに加えてみては? 

【Karasawa Miho Official Website】http://www.karasawamiho.com/

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