エコーズ

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エコーズ

夕焼けが好きだった、夕焼けをずっと追いかけた。
存在する理由、自分の居場所を探していた。
音楽、そして言葉の持つ意味は…。

(初出『Groovin'』2000年7月25日号)

 「音楽が終わった夜に」の中で辻仁成(つじひとなり)はECHOESの辻仁成(つじじんせい)について語った。自伝小説とも言えるそれは、歌うこと、音楽への1つの区切りだったのかもしれない。80年代、人間ってものに訴えかけるバンドが居た。少し先の未来&現実。ストレートな言葉。聴いていると情景が胸に浮かび、自分とか、世の中とか考えてみたりしたっけ。早いもので解散から10年を数える。使い捨てのような音楽が主流のこの頃(失礼、言葉が過ぎる?)、今の時代にあった音楽。そして言葉。決して使い捨てではない何かがECHOESにはある。古いんじゃ無いか?と言う人もいるかな…確かに今の時代にあった風にするのは難しいかも知れない、あわせるでは無く、やっと時代が追いついた。
 さて、ここでドラマ主題歌として取り上げられた「ZOO」。89年の作品。当時話題盤としてスマッシュ・ヒットとなった。「ZOO」=町。町にはカメレオンやペンギン、めがねざる、ハイエナ、が溢れて居る、そう人間が居る。「どうか僕に愛をください」「愛をください」。心で叫ぶ僕の唄。7月から放送のドラマ「愛をください」の主題歌として使用される。主人公(菅野美穂)のシーンで「愛をください、愛をください。」と流れるそうだ。寂しい僕に愛をそそいで下さい。色々な人が居て、愛と愛が手を繋いでこの世の中を創っているらしい。一緒に手を繋げない人に、貴方が手を差し伸べてあげて下さい。ちょっぴりシリアスでせつない曲。じわっと染込む曲なのね。うん。そうそう、ドラマの脚本を辻仁成(ひとなり)が担当。歌詞同様、鋭い感覚で「らしい」文章が見られるはず。言葉の大切さを実感してください。もう一つ。御存じの通り、芥川賞受賞/フェミナ賞受賞の小説家である。そしてパッサジオ(イタリア語で通過点の意)ディスクを創立し、ゼネラル・プロデューサーとして新しいレーベルから新人の育成をしている。歌はどうなのだろうか。ECHOESは再結成するのか?ラスト・ライヴで「もうECHOESの歌は歌わない」と言った通りソロのライヴでも聴く事は出来なかった。解散から10年たった。復活を望む声も聞こえる。小説を書く事により世界も広がった(はず!)。心配はいらない。心の受け入れ体制は万端。待ってるよっ。

Text by 有田幸恵(島田駅前店)

『ZOO』
エコーズ-J.jpg




Maxi Single
パッサジオDISCS
AICT-1239
¥971(税抜)
発売中

明るい感じに入るギターと例えられた動物達に、切なさが和らぐ。全体に流れる寂しい思い。「愛をください」「愛をください」と叫ぶミディアムROCK。気持ちに残る名曲。ヘッドフォンでじっくり聴いてみて。心のどこかに潜む思いに気付いてください…。


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