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 今月まずはNEW RELEASEのコーナーでも触れた、クミコの情報を。このクミコは70年代末から活動を続ける女性ヴォーカリストで、8/9発売のシングル『接吻』及び9/20発売のアルバム『AURAアウラ』は、何と松本隆&鈴木慶一の共同プロデュース。彼女の歌の上手さは言うまでもないが、その突出し研ぎ澄まされた表現力は、聴く人の心を直撃すること間違いなし。それくらいのインパクトがある、まさに本物のヴォーカリストだ。実は先日、南青山MANDA-LAで行われた彼女のライヴ「風待ミニ・コンサート」を見てきたが、アルバム収録予定曲をメインに、大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」なども披露。どの曲も彼女自身のものとして再解釈し歌唱され、聴いていて鳥肌が立つほど素晴らしかった。洋楽好きの悪いところで、ついついサウンドで曲を評価してしまいがちな傾向のある僕も、ちょっと反省。そのくらい"歌"に強烈なインパクトがあり、それが鋭く僕の心を抉ってくる。こんな感覚は久しぶりだ。ちなみに『AURAアウラ』には、細野晴臣、筒美京平、鈴木博文、鈴木慶一、あがた森魚、植野慶子、cobaといった錚々たる面々が楽曲を提供、また細野晴臣作曲の「ままごと」では細野-松本のリズム隊も復活予定で、これははっぴいえんど以来の快挙となる。今後のクミコの活動は、要チェックだ。
 さてもう1つ、須藤薫&杉真理の新譜もご紹介しよう。7/19に待望のマキシ・シングル『最後のデート〜Last Rendezvous〜』が発売された。クミコ同様、大人のためのポップスを提唱する2人の本作は、全3曲入り。1曲目の「最後のデート〜Last Rendezvous」はテレビ東京系「いい旅・夢気分」エンディング・テーマしてもO.A.。60〜70年代のアメリカン・ポップスのまさに王道をいく会心作だ。また2曲目「クラブ・ロビーナ」は、古き良きビッグ・バンド風+どこかトロピカルなサウンドに、須藤薫のヴォーカルが心地よい彼らならではの作品。さらに3曲目「お聞きローズマリー」ではアコギでの弾き語りも聴ける。彼らの良質な音楽は、きっとリスナーに安らぎと夢のような心地よさを運んでくれるはず。
 そしてもう1つは、ドリームズヴィルからの洋楽の再発。フル・ムーンの名盤『フル・ムーン』が、遂に世界初CD化された。このフル・ムーンは、バターフィールド・ブルース・バンドに在籍したバジー・フェイトン(後にラスカルズに参加)、フィリップ・ウィルソン、ブラザー・ジーン・ディンヴィディ、フレディ・ベックマイヤーの4人に、ニール・ラーセンを加えた5人で、72年に発表の唯一のアルバム『フル・ムーン』は、ジャズやロック、R&Bといったサウンドを彼ら流の音楽性でアレンジした、フュージョン色溢れる作品。その後AOR系アーティストにも多大な影響を与えた名盤だ。なお未発表曲1曲をボーナス・トラックとして収録。さらに同社からは8/25にはジョン・サイモンの最新作『HOAGYLAND』と、ケニー・ヴァンス&ザ・プラノトーンズのライヴ盤、そしてバリー・マンの名盤『レイ・イット・オール・アウト』も発売予定だ。

Text by 土橋一夫(編集部)
(初出『Groovin'』2000年7月25日号)

クミコ
『AURAアウラ』
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CD
東芝EMI
TOCT-24372
¥2,913(税抜)
9月20日発売

須藤薫&杉真理
『最後のデート〜Last Rendezvous〜』
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CD
Sony Records
SRCL-4851
¥1,165(税抜)
発売中

フル・ムーン
『フル・ムーン』
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CD
ドリームズヴィル
YDCD-0033
¥2,200(税抜)
発売中



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