アルベルト

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アルベルト

まさしく、このアルバムは「ハートに火をつけて」しまう作品集。
躍動感に溢れる名曲の数々が、
アルベルトの歌唱でグングンと迫ってくる。

(初出『Groovin'』2000年8月25日号)

アルベルト-A.jpg その昔、洋楽のシングル曲には、たいてい気の利いた邦題が付けられていたものだ。たとえばビートルズの『TICKET TO RIDE』は「涙の乗車券」と言った具合に。そんな日本オリジナル・タイトル(?)の中でも秀逸なネーミングのひとつに、ドアーズの名曲「ハートに火をつけて」がある。そして、ここで紹介するアルベルトのソロ・アルバムの冒頭をかざるのは、まさにその「ハートに火をつけて」のサルサ風味カヴァーなのだ。そう、このアルバムの全体のトーンを表すにふさわしい仕上がりで、同曲のカヴァーとしては先達であるホセ・フェリシアーノのそれとは趣きを異とした「華麗さ」に満ちている。
 さて、アルベルトは既にディアマンテスでの活動やTV等での活躍で多くの人に知られてはいるが、実はこの作品集が初ソロとなる。しかし、その内容は、前述の「ハートに火をつけて」をはじめ、これもビリー・ジョエルの名作「素顔のままで」やスタンダード中のスタンダード「ベサメ・ムーチョ」など、ここで音を聴かせられないのが歯がゆい位に、サルサの本質のひとつである躍動感に溢れたものとなっている。ほかにも安全地帯の「ワインレッドの心」、加山雄三「君といつまでも」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「ウェイヴ」といった、一見脈絡の無い、実は「時代と空間を越えた選曲」で固められているのだが、多分、このアルバムを聴く人の絶対的多数は、そうした事象よりも、全体をつらぬくアルベルトの歌唱の力強さや、それでいてひたすらに優しい眼差しみたいなものを感じることだろう。思えば「ルーツ沖縄ペルー生まれ日系3世」だから、その出自からすれば、いわば3代かけて、この日の為にラテン熟成をしていた訳で、この大ラテン・ブームの中、まさしく切り札になり得るアーティストのアルバム登場といえるだろう。

Text by Brian.W

『LIGHT MY FIRE〜ハートに火をつけて』
アルベルト-J.jpg




CD
M&Iカンパニー
MYCD-30053
¥2,857(税抜)
発売中

ディアマンテスのアルベルト、初のソロ作品は、時代と空間を越えた名曲をカヴァー。その歌唱力を存分に楽しめる、ラテン熟成度の高い素敵なアルバムとなっている。なかでもタイトル曲の「ハートに火をつけて」は英語詞からスペイン語への転換が絶妙です。

【DIAMANTIS オフィシャルサイト】http://www.diamantes.jp/01info.html

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