うたいびと はね

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うたいびと はね

幸せになりたいと嘆く前に、夢を諦めてしまう前に、是非1度このアルバムを聴いてみて欲しい。
案外すぐ近くに幸せは転がっていることに気付くから。
うたいびと はね待望のファ−スト・アルバムの登場だ。

(初出『Groovin'』2000年8月25日号)

うたいびとはね-A.jpg なぜ、音楽を奏でているのか?その答えは人それぞれだと思う。友達よりも目立ちたいからとか、好きな相手に自分の気持ちを伝えたいとか…。その他にも様々な理由があるだろう。でも「訴えたい理由(わけ)があるから音楽を奏でたい。」そう思う気持ちはきっと皆、共通しているのではないだろうか。全国的に社会現象とまで言われ、増加の一途をたどっているストリ−ト・ミュ−ジシャン。そのスタイルは実に様々で楽しい。しかし、ストリ−トでの演奏は音が反響する壁がない分、楽器の音は案外どこまでも広がってゆく。細い音では聞こえてこないのだ。そして、マイクを通さない生の声は声量と表現力を問われる、そんなシビアな場所でもある。時にまわりの人の冷めた視線をあびながら、雨の日も風の日も等身大の自分の姿をそこにじっと感じている。自分がどれ程の者なのか、人前で演奏すれば一目瞭然でわかるものだ。
 "うたいびと はね"は紛れもないストリ−ト・ミュ−ジシャンだ。彼らの地元・福岡を離れる記念の路上ライヴには何と約3000人のファンが集まったという所をみると、かなり実力のあるア−ティストなのだろうと思っていたが、手元に届いた彼らのファ−スト・アルバム『と金』を聴いてみて思った。やはり心にじんとくるものがある。メジャー・デビューという大きなチャンスをつかんだ彼らの歌からは、目の前の現実から逃げず、小さな1個の「達成」を積み重ねていくことが、夢を勝ち取るいちばん現実的であり、いちばん難しいことなのだということを教えてくれているのだろうか…。
 いよいよ発売となるこのファースト・アルバムはデビュー・シングルから3rdシングル「花火」までのカップリングを含めた6タイトル全12曲。デュオの強みである2人の「個性」と「音楽性」のマッチングは1枚のアルバムの中に思う存分発揮されている。ブルーハーツが好きというだけあって、前半のメッセージ性の高い楽曲は早いテンポでグングンと押しまくる。そして、自然と体が動いてしまいそうな軽快なPOPナンバーも時々顔をのぞかせる。後半にさしかかりフォーク・ナンバ−が流れてくると、うたいびと はねの本領発揮だ。ストリートで培った表現力で語られてゆく哀愁の漂うミディアム・バラードは年齢を問わず、きっと多くの人々に愛されることだろう。日本の四季折々の風景、子供時代のはじける様な感覚、誰もが必ず持っている心の引き出しを何気ない言葉でそっと開けてくれる。"写真や絵などじゃ 語ることはできない"〜「ポ」〜そう、だから彼らは歌っているのだ。忘れていたものや、小さな幸せがこのアルバムの中にはいっぱい散りばめられている。
 ふと見上げた空が美しくて…そんな感動を自分の言葉で「きれいだ」とつぶやいた。言葉が歌になる瞬間だ。それはストリートを愛する彼らへの、大空からの贈り物なのだ。
 羽ばたくことをやめない"うたいびと はね"。メジャ−になってもストリ−トで見た夢、そして体で感じた達成感は彼らの根源(ル−ツ)として、これから先も決して消えることはないだろう。 

Text by 森田みき(玉川高島屋店)

『と金』
うたいびとはね-J.jpg




CD
フォーライフ
FLCF-3804
¥2,913(税抜)
発売中

うたいびと はね待望のファ−スト・アルバムの登場だ。地元福岡での路上時代の思い入れを込めた全12曲がいよいよ全国にはばたいていく。なかでも12曲目の「4人」は、グッとくる歌詞と力強いメロディ−がまさに今の彼らを物語っているようだ。

【唄人羽 オフィシャルサイト】http://www.forlife.co.jp/artist/?aid=FL00304

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