MY BEST CHOICE!

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第7回 
中野孝一(すみやパルシェ店)

(初出『Groovin'』2000年8月25日号)

 「間」を心得たギタリスト。「ツボ」を心得たギタリスト。ジョン・トロペイとはそんなギタリストだと思う。今日、紹介するアルバムは、そんな彼が1980年4月NYのライヴ・ハウス「ミケルズ」で行ったライヴ・アルバムである。参加アーティストがまたすごい。ジョン・トロペイ(g)、スティーヴ・ガット(dr)、ランディー・ブレッカー(tp)、ウィル・リー(b)、リチャード・ティー(p)、デヴィット・スピノザ(g)、ロニー・キューバー(sax)他という、そうそうたる面々でのライヴで、好きな人はこれだけで聴いてみたくなってしまう。当時のライヴの躍動感が伝わりつつ、20年たった今でも本当に新鮮に聴く事のできる素晴らしいアルバムである。スティーヴ・ガットとウィル・リーのボトム・コンビがはじき出すグルーヴがまた素晴らしく、ファンキーでカッコいい。そのリズムに乗っかって甘くて暖かいギター・トーンで気持ち良く流れるようにギターを弾く、彼の姿が思い浮かぶようだ。
 ジョン・トロペイはギターをスウィートに歌わせるトーンが魅力なのだが、ギターは何を使っているのだろうか?現在の彼はギブソンL-5というフルアコを使用しているが、このアルバムもおそらくL-5タイプのフルアコか、ES-335などのセミアコを使用しているのではないかと推測される。エフェクトもほとんどかけていない。ギターを本当に歌わせるにはピュアなトーンがいいものだとあらためて感じさせるアルバムである。
 またこのアルバムには、オーヴァー・ダブではあるが今は亡きリチャード・ティーが参加しているし、今回は詳しく書けなかったがホーン・セクションの音も聴きどころの1つだと思う。フュージョンという音楽がもっとも熱かった頃の貴重な記録であると言える。


*なお次回は鷲尾 剛氏(すみや本社 商品課チーフMD)が登場します。お楽しみに。

ジョン・トロペイ&N.Y.オールスターズ
『ライブ・アット・ミケルズ』
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CD
ビデオアーツ
VACZ-1031
¥1,748(税抜)
発売中

ギタリスト、ジョン・トロペイが1980年にNYのクラブ「ミケルズ」において、フュージョン界トップ・アーティスト達と繰り広げた幻のスーパー・ライヴ・アルバム。スティーヴ・ガット、ウィル・リー、ランディ・ブレッカー等のプレイも素晴らしい!

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