久保田利伸

ARTIST PICK UP

久保田利伸

HEY! Mr.ファンキー・ソウルメン!ソウルフルさに磨きがかかり、さらにブラッキー。
『Nothing But Your Love』に続く、
4年ぶりとなる日本盤オリジナル・アルバム『As One』が、遂に登場!

(初出『Groovin'』2000年9月25日号)

久保田利伸-A.jpg 久保田利伸が、NEW ALBUMをリリースする。「えっ、この前出さなかったっけ?」と思う人がいるかも…。6月にリリースしたのは、ワールドワイド盤。つまり、簡単にいうと全世界のマーケットに向けて発信したモノ。そして今回ここで紹介するのは、国内オリジナル・アルバム。大ヒットした前作『LA LA LA LOVE THANG』から4年半ぶりになる。先にリリースされたワールドワイド盤『Nothing But Your Love』は、明らかに"洋楽"。もちろんのことだが全編英語詞、特に発音(言葉)に重きを置くと共に、サウンドも現在のR&Bの最先端をいっているサウンド・プロダクションによって作り出された会心の作品だった。(付け加えるのならば、現在その内容が全米でかなりのセンセーションを巻き起こしているという。)
 このような全精力を注いだアルバムと同時進行で制作されていたのが、本作『As One』。オリジナル・アルバムとしては実に9枚目。(ワールドワイド第1弾&オリジナル・アルバム『Sunshine Moonlight』のような日本語、英語の違いではなく、まったくの別作品。)全米というマーケットは、日本人にとって非常にハードルが高い。そのハードルをクリアしようと戦ってきた男。そして、強力といっていい布陣で制作された『Nothing But Your Love』。そこで得たものは、非常に多かったのだろうということは容易に想像がつく。それゆえに、同時進行で制作されていた本作に対しての期待は言葉では表わすことができないほど。
 収録されている曲は、ドラマの主題歌だったことでお馴染みの「the Sound of Carnival」、CX系シドニー・オリンピック イメージソング「ポリ リズム」等のシングル曲を始めとした日本最高峰(全世界レベル)のR&Bが詰まっている。ニュー・クラシック・ソウル・テイスト溢れるナンバー「His Sugar」は、アルバム曲でありながら早くもタイアップが決まり、現在オンエア中のP&Gパンテーン"Pro−V"CMイメージ・ソング。タイトル曲「As One」は、ファンクネス溢れる彼の魅力が十二分に出まくったミドル・ファンクなサウンド。そこはかとなく漂うPっぽさがグルーヴィーな1曲。「Bossa Groove」はタイトルからもわかるようにボサノヴァ・ギターとR&Bのリズムが融合したナンバー。といった感じの曲が収録されているのだが、どの曲もシングル・カットできるほどのポテンシャルを持っている。そして、サウンドも前作とは比べものにならないほどR&Bとしてのクオリティが高い。ワールドワイド盤で最先端のR&Bサウンド・プロダクションに触れ吸収したモノが、非常にいい形で表われているのだろう。そのテンションは、ワールドワイド盤と全く変わらないが、母国語である日本語で歌われた分、本作は心なしかリラックスしているように思え、"さらに進化"したと言えるのでは?つまりは、最高のサウンドを作り出したと言えるのではないだろうか。95年にリリースしたワールドワイド第1弾『Sunshine Moonlight』は、彼の試行錯誤がうかがえる実験的なチャレンジ作。そして『LA LA LA LOVE THANG』は、ポップ色の強いアルバムだった。それから5年。久保田利伸の得たものは"本物のグルーヴ"。それは『Nothing But Your Love』、そして本作『As One』が証明している。11月には久しぶりの全国ツアーが控えている。こんな最高のアルバムを聴かされただけにライヴに行かない手はない。そのグルーヴを体で感じるのが待ち遠しい。

Text by 常盤安信(秦野店)

『As One』
久保田利伸-J.jpg




CD
SME Records
SRCL-4927
¥2,913(税抜)
9月27日発売

シングル「the Sound of Carnival」「ポリ リズム」を収録した待望のオリジナル・アルバム。ワールドワイド盤『Nothing But Your Love』とほぼ同時進行で制作されたこのアルバムのクオリティは、まさに最高傑作と呼ぶに相応しい。

【久保田利伸 オフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/kubota/

inserted by FC2 system