Calyn

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Calyn

「Moments」で衝撃的なデビューを果たして以来約1年。
Calyn待望のデビュー・アルバムは、
彼女のスピリチュアルなグルーヴがたくさん詰まった傑作 !

(初出『Groovin'』2000年9月25日号)

 去年の9月に「Moments」で衝撃的なデビューを果たした、Calynの待望の1stアルバムがついにリリースされる。全12曲、約63分にわたるこのアルバムを聴いていると、Calynのずば抜けたヴォーカル力や、デビュー以来成長し続けている表現力が充分に伝わってくる。加えて、他の日本の女性R&Bシンガーには余り見受けられない、スピリチュアルで荘厳なムードが漂っていることに気づく。もちろんそのことは、彼女が小学生の時に、賛美歌を歌ったのがきっかけで、ゴスペルやブラック・ミュージックに傾倒していったということに、少なからず関連はしていると思うのだが、それ以上に彼女の" 歌 "に対する高い志が、そのような雰囲気を醸し出しているのだろう。そして、その志をディレクションし、具現化することのできる、プロデューサーやライターを中心とした、素晴らしいスタッフの知恵と、Calynの音楽に対する真摯な姿勢が結集して、このような素敵な傑作を編み出してくれたのだ。
 また、デビュー前の98年にMISIAの武道館ライヴのフロント・アクトをつとめたり、チャカ・カーンやジョセリン・ブラウンも出演したことのあるニューヨークのライヴ・ハウス「Vinyl」で、日本人初のライヴ出演を果たしたという体験と、そして何よりも、数々のクラブ・サーキットが、このアルバム全編に貫かれている彼女のグルーヴ感やライヴ感を育んでくれたのだろう。とにかく、どの楽曲も素晴らしく完成度が高くて、一部の隙も無いのにもかかわらず、聴いた後は、ニュートラルに維持していた自分のソウルが、充分に高揚させられ、まるで荒くれ者のごつごつとした手で、それを鷲掴みにされたような、不思議な気持ちにさせてくれる。充分に洗練され、充分にレアで、充分にポジティヴで、充分に切ない素晴らしいアルバムだ。

Text by 五味渕雅之(朝霞店)

『Calyn』
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CD
ポリドール
UPCH-1010
¥2,913(税抜)
発売中

全12曲約63分にも及ぶCalynの1stアルバム。彼女の音楽に対する高い志と真摯な姿勢が、ヴォーカリストとして大きく成長した彼女をバックアップして、素晴らしくソウルフルでポップなアルバムに仕上がっている。  


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