ハートバザール

70年代のブリティッシュ・ロック的サウンドと独特な視点の日本語詩の融合。
ハートバザールの作り出す"ジギタリス"な世界を覗いてみてはいかが。

BRAND NEW ARTIST
ハートバザール

 今年の4月にメジャー・デビューしたハートバザールの1stシングル「北風と太陽」を聴いた時、またもや日本のロック・シーンに"問題児"が登場 !と思った。個性的で、頑固そうなバンドが出てきた…と。
 まず、ギターと作曲を担当する鈴木玲史が作るメロディーとサウンドは一昔前のブリティッシュ・ロックの影響を感じさせる、なんとも言えないウェットな音で、サビに向けて盛り上がってく展開も、基本的に日本人が好きなパターンなのだけれど、結局7分近い、今時のシングルにしては珍しい大作になっていた。ヴォーカルの石井皐月の書く詩も彼女独自の視点から世の中を見渡した深みのあるもので、歌詞カードを見ながらじっくり考えさせるタイプ(でも、みんな結構そういう世界って好きだったりして)。だからハートバザールの音楽って、あまりラジオとかTVとかで耳にする機会はそう多くはないかもしれない。けれど、だからと言って無視するには非常にもったいない存在だ(だからここで取り上げている! )。
 2ndシングルの「ジギタリス」(毒薬にも薬にもなる植物の名前だそうだ。まさにこの楽曲のタイトルにふさわしい)も、基本的には前作の延長線にあり、聴き応えは充分だ。自分もそうなのだが、とにかく1度聴くと癖になるタイプの楽曲だ。珈琲も煙草も最初は苦いが、やってるうちにないといられなくなるのと同じで、癖になってしまうのが彼らの音楽なのだろう。今後そんな"ハートバザール中毒"が増えることは必至だ。

Text by 一ノ木裕之
(初出『Groovin'』2000年9月25日号)

『ジギタリス』
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Maxi Single
東芝EMI
TOCT-22103
¥1,165(税抜)
発売中

Vo&G:石井皐月、G:鈴木玲史、B:永井紀子、Ds:國分建臣の4人からなる超個性派集団ハートバザールの2ndシングル「ジギタリス」は、ブリティッシュ・ロックの日本人的解釈のド真ん中と言える"良質な作品"となっている。


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