MY BEST CHOICE!

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第8回 
鷲尾 剛(すみや本社 商品課)

(初出『Groovin'』2000年9月25日号)

 今やスワンプ・ロックの名盤。そりゃそうだろう、バッキングは後にデレク&ドミノスに変貌してゆく、エリック・クラプトン以下の、そうそうたる面子(フレンズ)ですものね。僕が、このアルバムを手に入れたのは高校1年の時。横浜は伊勢崎町の黄昏た店でGET。もちろんLP。コーティング・ダブル・ジャケット。セピア色のアルバム・カヴァーに映る、車から突き出た足はボブ・ディランだという噂も当時しきりだったが、真実は闇の中。
 それにしても昭和40年代の高校生はおしなべて自由にできるお金が少なく、僕も「今日は購買部でパン買うから弁当いらない」などと言いながら200円、300円とパン代をもらい、昼はヌキ!それを貯めて、このアルバム購入の足しにしていたのですから、ここまで来るとレコード会社から表彰の1つもあってしかるべきではないか、と言いたくなる。
 そんな必死の努力が実って買った本盤。何百回となく聴きこんだ。そんなある日、けなげにも自分で作ったスパゲッティー食べながら聴いていて、手元が狂い、麺をジャケット見開きに落とす。それは、四半世紀以上を経てもほのかに痕跡を残し、この盤を手にする度に、僕にとってのスワンプ・ロック元年を想起させてくれる。
 そう、このアルバムこそが、それまでのヒット・シングル志向の少年をして、ギターは誰で、ベースはあいつで、プロデューサーはね、といったミュージシャン&周辺人脈への関心を持たせてくれた最初の作品なのでした。付け加えるならば、このアルバムの興奮度は今でも充分高い。演奏も充実している。とにかく白人(夫婦)デュオなのに絶対的にソウルフルなのだ。そういえば確か映画『バニシング・ポイント』だったか、デラニー&ボニーがフレンズを引き連れ砂漠で歌うシーンがあったはず。誰か、この映画を持っている人ダビングしてくれませんか。お礼はします。本当です。


*なお次回は石間俊弘氏(すみや浜松高台店 店長)が登場します。お楽しみに。

デラニー&ボニー&フレンズ
『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』
デラニー&ボニー&フレンズ-J.jpg




CD
イーストウエスト・ジャパン
AMCY-2766
¥1,700(税抜)
発売中

今やスワンプ・ロックの名盤として評価も高い1970年リリースのライヴ・アルバム。ギターにクラプトン、D・メイソン等をしたがえ、デラニー&ボニーがソウルフルに歌う。アルバムの各所に聴きどころ多数あり。あの!時代を切り取った歴史的な作品です。

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