矢井田瞳

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矢井田 瞳

衝撃デビューから3ヶ月、早くもファースト・アルバム『daiya-monde』(ダイヤモンド)が完成!
ヤイコの体の奥から湧き出る言葉とメロディの結晶を感じて欲しい。
ダイヤモンドの原石は輝き始めたばかりだ。

(初出『Groovin'』2000年10月25日号)

 7月に発売されたデビュー・マキシ「B'coz I Love You」で、関西インディーズ・シーンから一気に全国区へと躍り出たヤイコこと矢井田瞳。新人とは思えないほどの強烈な印象を与える楽曲にド肝を抜かれた人も多いだろう。気が付くとサビの部分が、グルグルと頭の中を回ってしまう人が続出。次いで、つい先日発売されたばかりの2ndシングル「my sweet darlin'」も、前作よりも明るい曲調ではあるが、またもやヤイコならではのスピード感あふれるアップ・テンポなラヴ・ソング。恋愛感情をストレートに綴った詞、キャッチーで少し懐かしさを感じさせるメロディ・ライン、スリリングなヴォーカル、何よりも女の子が恋をした時の破天荒なパワーが曲全体で見事に表現されていて、「ああ、人を好きになる気持ちってこうだよね」なんて、自然と気持ちが高ぶってしまう。脳内物質が一気に分泌される感じ…。
 そんな風に、2枚のシングルでいともあっさりとヤイコ・マジックにかかってしまったわけだが、早くも1stアルバム完成!との朗報、早速試聴してみる。1曲目からいきなり関西エリアで限定インディーズ・リリースされた幻の作品『Howling』に収録されていた「How?」のNew Mixヴァージョン。ドラマティックな展開と、ヤイコの歌いっぷりに圧倒される、記念すべき1stアルバムのオープニングにふさわしい楽曲。その他にも2枚のマキシでは聴くことの出来なかったタイプの曲もあってヴァラエティに富んだ内容になっているのだが、どの曲もメロディが主張している。気が付けば、完全に聴覚が支配されてしまうようなインパクト。以前、作曲に関して「心のまっさらな部分から出てきた音」で「大好きな歌を口ずさむ鼻歌の延長上」と語っていた彼女だが、自然とわき上がってくるのがこういったメロディなら、素晴らしいを通り越して末恐ろしいと思う。アルバム全編を通じて感じることの出来るヤイコのオリジナリティの根源はこのメロディに違いない。
 そうした彼女の天賦の才能をサポートしているのが、プロデュース・チームのダイヤモンド◆ヘッド。このチームには、片岡大志、西川進、浦清英という実力とセンスを十分に兼ね備えた3人が名を連ねている。その名の通りダイヤの原石=ヤイコを研磨すべく結成されたこのチームがあるからこそ、彼女は輝くことが出来るんじゃないかな、と今作で改めて思った。ヤイコの才能とイメージを完全に理解したうえでのアレンジがなされていて、芸術家と職人とも言えるヤイコとダイヤモンド◆ヘッドの役割のバランスの良さが、何度も聴きたいと思える作品の耐久性につながっているように感じる。
 「あまり音楽通ではない」と言っていたヤイコ。19歳の時にギターを手にして、偶然歌が出来てしまった日から今まで、自分のイメージを大切にして曲を作っており、何かをお手本にするためにCDを漁ったりもしないそうだ。そもそも音楽に知識や理論なんて必要あるんだろうか。理論武装で重くなった体で必死に何かに追いつこうとするより、研ぎ澄まされた感性で裸足のまんま自分の進みたい場所に走っていけばいい。まだダイヤの原石は磨かれ始めたばかり。ヤイコにはこのまま"表現者"としていつまでも輝いていて欲しいと思う。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『daiya-monde』
矢井田瞳-J.jpg




CD
東芝EMI
TOCT-24455
¥2,913(税抜)
発売中

「B'coz I Love You」で衝撃デビューを果たした矢井田瞳の1stアルバム。スマッシュ・ヒットした2枚のシングル曲はもちろん、関西エリア限定でインディーズ発売された楽曲のNEW MIXも収録した、現時点での彼女の集大成ともいえる内容。

【矢井田瞳 Official Web Site】http://www.hitomi-yaida.com/

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