rua

ARTIST PICK UP

rua

「懐かしくて新しい音」がいっぱいに詰まったポップな贈り物。
浜崎あゆみもいいけれど
「rua」もいいぞ。

(初出『Groovin'』2000年10月25日号)

 平易であることと安易であることとは似て非なるものである。音楽の世界でもそれは言える。「難解な音楽こそが偏差値の高い音楽である」「みんなの知らない音こそが質の高い音楽である」という風に思うむきは「安易」であり、むしろ平易であり「みんなの知っている音こそが質の高い音楽」だったりするのですね。
 理屈っぽい話はこれくらいにして、NHKの音楽番組の中でもひときわ人気の高い「青春のポップス」(毎週月曜23:00〜23:40)の看板アーティストである(と僕は思っている)「rua(ルア)」の2人がアルバムを作った。
 ニュージーランド出身の姉弟デュオのその素敵なルックスそのままに、ポップスの名曲をカヴァー。選ばれた8曲は大半が70年代の洋楽の名曲で、日本人にとっては耳馴染みのあるものばかり。そう「聴きやすく、みんなの知っている音楽」がいっぱいに詰まった「音の贈り物」といった風情とでもいおうか。なかでも番組の新旧エンディング・テーマの3曲が際立って仕上がりがいい。
 「We're All Alone」はAORの先駆者として名高いボズ・スキャッグスの76年の名作『シルク・ディグリーズ』に収められていた曲。「天使のささやき」は70年代はじめのディスコ・ブームを支えた代表的グループ、スリー・ディグリーズの大ヒットで今40代から50代の人にとってはまさに「青春のポップス」だった曲。そして新テーマの「恋の仲直り」といえばピーチズ&ハーブによるFREE SOULファンの支持も高い作品で、79年に4週間全米1位を記録した名曲。いずれにせよ他の各曲もふくめ、ここでの彼らのカヴァー手法は"カーペンターズ"風で、英語詞と日本語訳詞がバランス良く収まり、趣味の良いソフト・ロック風味もちょっと感じる、つまり奇をてらったところこそ無いがストレートに曲の良さが伝わってくる、そんな雰囲気なのだ。
 懐かしさと親近感、さわやかなヴォーカル、ハーモニー、コーラス、そして日本人が大好きなユニゾンと、おさえるところをすべて押さえた1枚。気楽に、手軽に、さりげなく、聴く人1人1人の素敵な「青春のポップス」が見つけられる作品集。オススメします。

Text by Brian.W

『青春のポップス〜We're All Alone』
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CD
テイチクエンタテインメント
TECN-21675
¥2,000(税抜)
発売中

「聴きやすく、みんなの知っている音楽」がいっぱいに詰まった「音の贈り物」といった作品集。なかでも彼らが出演中のNHK「青春のポップス」新旧エンディング・テーマの3曲が際立って仕上がりがいい。「恋の仲直り」は特にオススメしたい1曲だ。


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