MY BEST CHOICE!

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第9回 
石間俊弘(すみや浜松高台店)

(初出『Groovin'』2000年10月25日号)

 トッド・ラングレンは様々な顔を持つ、ユニークなロック・スターです。彼の特徴をあげてみると
●ポピュラー音楽と呼べる範疇ほぼすべてのスタイルに手を出す雑食型ミュージシャン。
●曲づくりから全てのパートの演奏、歌、さらにミックスダウンまでこなすワンマン・レコーディングの開祖。
●バラードの評価が特に高い70〜80年代屈指のメロディ・メーカー。
●プロデューサーとしても、数々のヒット作、名作を残している。
●早くからコンピューターに興味を持ち、マルチメディアのパイオニアとしても知られる。
●ビートルズ・フォロワーでありブルー・アイド・ソウル・シンガーとしての評価もある。
 このアルバムはそんな彼のエッセンスが凝縮された素晴らしい作品です。イメージとしてはビートルズの『ホワイトアルバム』を1人でやろうとした様な、自分の知っている事、やりたい事をとにかく全部ブッ込んじゃえ、みたいな楽しさと野心に満ちています。ワンマン・レコーディングという事で、どこを切ってもトッドの顔が出てくるような金太郎飴的要素もまさに飽きさせない魅力でしょう。
 しかしこのアルバムの、いや彼の最大の魅力はその個性的で卓越した作曲に尽きると思います。ビートルズ、モータウンの流れを汲むキャッチ−なメロディに分数和音など複雑で浮遊感のある響きを意識的にかけあわせる得意技。曲に奥行きと陰影をつけ、ジャジーというのとはまた違った洗練されたムードを放っています。
 未聴の全ポップ・ロック・ファンにおすすめします。


*なお次回は海東道雄氏(すみや石岡店 店長)が登場します。お楽しみに。

トッド・ラングレン
『サムシング/エニシング?(ハロー・イッツ・ミー)』
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CD
ビクターエンタテインメント
VICP-60258〜9
¥3,300(税抜)
発売中

1972年発表のトッド24才の時のサード・アルバム。彼の代表作に推すファンも多いヒット・シングル「アイ・ソウ・ザ・ライト」「ハロー・イッツ・ミー」収録。後者は今春映画『ヴァージン・スーサイド』挿入曲で話題に。

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