ファンタジア/2000

Text by 鮎川夕子（編輯部）
（初出『Groovin'』2000年12月25日号）

　「音楽が見える。映像が聞こえる。」一1940年、「クラシック音楽とアニメーションの幸福な出逢い」というウォルト・ディズニーの独創的かつ大胆な発想は『ファンタジア』という不朽の名作によって、見事に実現されました。そして、あれから60年の月日が流れ、ディズニーの新世代アニメーターとフィルムメーカーたちは、ウォルトの夢を継承するべく『ファンタジア/2000』という、20世紀最後の傑作を生み出すことになったのです。
　クラシック音楽の壮大でありながらも繊細な調べは、イマジネーションの宝庫です。そして、そこにイマジネーションの表現方法として最も大きな可能性を持つアニメーションが溶け合うと、眩いばかりの"夢の世界"が出現するのです。さらに『ファンタジア/2000』では、息をのむようなリアルな映像を実現するための最新の技術ツールと革新的な手法に加えて、懐かしさと温かさを感じさせる伝統的アニメーションも取り入れています。そういう意味でも、『ファンタジア/2000』は今世紀を統括するアニメーション作品と言えるでしょう。何よりも、この夢の世界の住人達の息づかいが聞こえてくるような映像と、色彩豊かなクラシック音楽の融合は、エンタテインメントという枠を越え、芸術の域に達しています。
　また、8つに別れた各パートを紹介するホストには、様々な分野の有名人を迎えました。ベット・ミドラー、クインシー・ジョーンズ等々、その顔ぶれはなんとも多彩で豪華。彼らのナビゲートで冒頭の「交響曲第5番」からラストの「火の鳥」まで、約75分間の素敵な夢旅行を楽しめる、それが『ファンタジア/2000』なのです。
　そんな世界中の話題と感動を呼んだ名作が早くもビデオとDVDで登場します。嬉しいことに、この作品の原点となった『ファンタジア』もDVD化されて同時発売。それぞれDVDにはここでしか見れないスペシャル映像を収録しています。年齢・性別を越えて楽しめる"夢の世界"へいざなうパスポートとなる今作。さあ、あなたもひとときの夢旅行に出掛けてみませんか?