ピチカート・ファイヴ

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ピチカート・ファイヴ

日本を代表するポップ・ユニット、小西康陽&野宮真貴によるピチカート・ファイヴが
2001年1月1日にニュー・アルバム『さ・え・ら ジャポン』をリリースする。
21世紀を迎える日本をポップに描き出す注目作だ。

(初出『Groovin'』2000年12月25日号)

 2001年1月1日という記念すべき日にリリースされるピチカート・ファイヴのニュー・アルバム『さ・え・ら ジャポン』。1999年11月発表の『PIZZICATO FIVE』から1年強ぶりとなるオリジナル最新アルバムだ。先に発表された2枚のマ
キシ・シングル「東京の合唱」「12月24日」の2曲のタイトル曲がニュー・ヴァージョンで収録されるほか、99年7月に発表された「nonstop to tokyo」も改めて、新しい形で収録。ピチカート・ファイヴの音作り、作品作りについては、リ
ミックス感覚も楽しみのひとつであり、最新作でも、さまざまな生まれ変わりの驚きを与えてくれる。
 音楽的な面に目を向けると、ヒット曲「東京は夜の7時」(93年12月発表)などから続く、ピチカート・ファイヴの王道と言うべきポップなメロディ・センスが健在。しかも60年代ポップス、ソウル、ジャズ、フレンチ・ポップス、映画音
楽、ラウンジ・ミュージックといった、ピチカート・ファイヴの音作りのなかではおなじみのテイストや、小西康陽のDJ活動からフィードバックされる、2ステップなどさまざまなビートの感覚が、斬新なアイデアで、まったく新しい組み合
わせで融合されていく。
 また、ピチカート・ファイヴの作品では、参加ゲストの人選も見逃がせないポイントとなる。これまでも、日本のエンターテイメントの歴史に対する小西からの敬愛の念の表われとして、夏木マリ、岸田今日子、細川俊之などがゲストとし
て迎えられ、フィーチャーされてきた。そして、最新作では雪村いずみが登場する。ミス・ピチカート・ファイヴの野宮真貴との華やかなデュエットは聴きどころだ。そのほか、若い世代からは、スーパー・バター・ドッグの永積タカシな
どが、また海外からは、クレモンティーヌ、ベルトラン・ブルガラ、スパークスなど、いずれも個性的なアーティストが参加し、全曲合わせれば、非常に豪華で多彩な顔ぶれとなっている。
 アルバム・タイトル『さ・え・ら ジャポン』から推察できるとおり、テーマは日本だ。収録曲には、日本国民のだれもが知っている「一月一日」のカヴァーや、はっぴいえんどの「愛餓を」のクレモンティーヌをフィーチャーしてのカヴ
ァー、ベルトラン・ブルガラによる「さえら」などが含まれる。"ポケット・モンスター"などアニメやゲーム文化が花盛りの日本。海外でも人気の電気製品などを輸出するテクノロジーの発達した日本。伝統的な文化、習慣、精神性の残る日本。ピチカート・ファイヴはこのところ海外でのライヴやDJツアーもおこなうようになったが、そのなかで、海外の人々の目に映る日本の姿に触れることもある。また、海外で"ピカチュウ"など、日本のキャラクターを目にすることも多くなった。一方、海外での体験を通して、日本の良さを再確認することもある。そんな2人の日本への想いがもとになり、1度海外の目のフィルターを通した今日の日本の姿が、ポップに、キッチュに、ヒューマンに描き出される。まさに21世紀の日本、21世紀のピチカート・ファイヴの幕開けを飾るにふさわしい作品となっている。

Text by 渡辺 淳

『さ・え・ら ジャポン』
PIZZICATO FIVE-J.jpg




CD
*********records,tokyo
COCP-50460
¥2,913(税抜)
2001年1月1日発売

前作から約1年ぶりとなるオリジナル・アルバムは、まるで20世紀を総括するかのように、意外なカヴァーあり、多彩なゲストを迎えてのナンバーあり、といった豪華な内容。また3曲のシングル曲については別ヴァージョンを収録している。

【ピチカート・ファイヴ 公式サイト】http://columbia.jp/~pizzicato/

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