さくら

ARTIST PICK UP

さくら

海の向こうのかつてのヒーローに憧れ、
どれだけ多くのロック・グループが生まれたことだろう。
ただ、この国でメッセージを伝える手段としていちばん伝わりやすいのは日本語である。

(初出『Groovin'』2000年12月25日号)

 駅に向かう途中で、満開になった桜の花びらが風に舞う。枝についていた時より1度地面に落ちてまた宙に舞い上がるその瞬間が美しい。5月には若葉が鮮やかな緑色になり、桜もちに移った葉の香りは、また違った楽しみを私たちに与えてくれる。桜色の赤ん坊のほっぺに触れた時、いとおしい気持ちが胸一杯に広がった。「さくら」はとても美しい名前だ。そして桜は日本を象徴する花でもある。
 そんな日本では今、どんな事が起こっているのだろうか?頭脳では世界でトップレベルと言われた過去の栄光も、一人っ子政策により多大なお金を子供の教育にあてられるようになった隣国である中国エリート軍団にとって代わられる日も、そう遠くはないだろう。家庭内のもめ事が全国ネットのニュースで大々的に取り上げられるようじゃ、もう何がPUBLICで、何がPRIVATEなのかも分からなくなってくる。外に目を向ければ向ける程、頭が混乱する。
 では、ひとりで生きてゆけるのか?1つの世代として考えられる「かぎっ子世代」。特に20代前半の、日本で今活躍しているアーティストの作品中には興味深い共通点がある。それは「友達」という言葉を頻繁に使っていることだ。繋がっているのか、いないのかを常に確かめるかの様に、身近な人との関わり合いが大きなテーマになっている。〜 蛇口をひねるだけで流れ出るその幸福(しあわせ) 満たされすぎて空っぽになってしまう 乾き切った喉〜(「告白」)さくらもまた、メンバー全員が25才よりも若い。そんな彼らが、なけなしの声で「愛してくれ」と告白しているのだ。その声を聴き逃してはいけない。いとおしい程に切ない思いがした。
 日本を代表するという意味を込めて「さくら」と命名したのだから、しっかりとその役割は果たしてくれるだろう。美しい日本語で…。ありのままの現実を伝えて欲しい。

Text by 森田みき(玉川高島屋店)

『告白』
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Maxi Single
CFC
CFCI-0004
¥1,200(税抜)
発売中

メンバー全員が20代前半。何も恐れることを知らない彼ら。99年4月からライヴを精力的にこなし、CDを手売りしながら着実に足場を固めていった。そして12/6いよいよマキシ・シングル「告白」をリリース。更にスピード・アップしてゆく彼らはリアルだ。


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