ムーンライダーズ

ARTIST PICK UP

ムーンライダーズ

マニアによる、マニアのための、マニアックな作品。
ムーンライダーズ、20世紀最後の新作は、
メンバーの個性がめいっぱい出たミニ・アルバム。

(初出『Groovin'』2000年12月25日号)

 ムーンライダーズとの出会いは、遡ること15年程前、通っていた高校の保健のセンセイに勧められた『青空百景』のカセットテープだった。何度となく聴いているうちに、テープを返すのが嫌になるくらいハマってしまった。当時は、日本のバンドってカッコワルイと思い込んでいたので、ライダーズとの出会いはちょっとしたショックだったのです。しかも、この時点でライダーズは結成8年目にはいっており、音楽体験の少ない私の目には、すでにベテラン・バンドとして映ったのでありました。そんなムーンライダーズが、またやってくれました。
 今回は、メンバーそれぞれが1曲ずつ作詞・作曲をし、マスタリングの段階まで、全く互いに楽曲を聴かない状態で持ちよるという「バンドなのになんでやねん」と突っ込みたくなる作品。しかも、制作から発売までの期間がたったの1ヶ月というからまたビックリ。こういうやり方って、普通のバンドには出来ない。今まで幾多の山や谷を越えてきた(!)ライダーズにしかできない手法だろう。マスタリングまで会わない、聴かないって、それならソロで出せばいいじゃないか、という話に普通はなるのだが、そこをあえてバンドとしてリリースするのは、ソロとしての「個」ではなく、ムーンライダーズとしての「個」を出すという事ではないだろうか。
 今までにも、そういった面白い企画でアルバムを作ってきた。例えば前作の『月面賛歌』は、ライダーズがベーシック・トラックを作り、ミックスを全て外部のプロデューサーに任せている。こんな大胆なことが出来たのも、メンバーが一歩引いたところでムーンライダーズを楽しんでいるからなのではないか。(大人だなぁ)そして今回の世紀末ミニ・アルバムは、それぞれの個性が充分に出ていながら、でも、ムーンライダーズの曲なのでありました。あぁ、一生ついて行きますよ!

Text by 濱田尚子(池田店)

『Six musicians on their way to the last exit』
ムーンライダーズ-J.jpg




CD
JOY RIDE records
JOY-0003
¥2,200(税抜)
発売中

来年25周年を迎えるムーンライダーズの新作。前作のオリジナルから2年余、今作はメンバーそれぞれが宅録、マスタリングで初めてメンバーそれぞれの楽曲を聴くという、バンドとしては信じられないような作品。メンバー6人それぞれ1曲ずつと、「Kのトランク」のライヴ・ヴァージョンを収録。

【ムーンライダーズ オフィシャルウェブサイト】http://www.moonriders.net/

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