Gackt

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Gacktが切り拓いた新たな世界が、今明らかになる…。
ファースト・ソロ・アルバム『MARS』遂に完成!

(初出『Groovin'』2000年4月25日号)

 MALICE MIZERを脱退後、ソロ活動を開始したGackt。2000年の幕開けと共にシングルを3作連続リリースし、ファンならずとも今後の動きが気になるところだが、満を持しての1stフル・アルバム『MARS』が完成した。これによって今まで断片的にしか見ることの出来なかったGacktの世界がついに全貌をあらわした。
 昨年5月に初のソロ・シングル「Mizerable」、8月にはセカンド・シングル「Vanilla」をリリース。11月にはリミックス盤「Remix of Gackt」、12月には「Video Vanilla」、今年に入ってからは前述の3作のシングルと、その制作活動のスピードには圧倒される。それだけ彼のなかでは次々とアイデアやイメージが生まれていたのだろう。
 バンドを脱退後ソロ活動を開始し、その動向が注目を集めるなか、Gacktはいくつかの国を訪れている。アメリカ、フランス、台湾…レコーディングや写真集の撮影という目的があったにせよ、異国の空気に触れることで、Gackt自身を深く見つめる事が出来たはずだ。その証拠に、発表されたシングルは作品を追うごとにGacktの世界観が色濃く反映されている。
 例えば最新シングル「鶺鴒〜seki-ray〜」は、力強い母性を感じさせるかのような包容力に溢れた作品になった。そこには紛れもないGacktの世界がありながらも、閉鎖感は全くなく、全ての人をいざなう道が用意されているかのようだ。力強さと優しさを感じさせるメロディーで新たなファンを獲得したに違いない。
 本作『MARS』はソロとしては初のフル・アルバムになるわけだが、早くもGacktの世界観を確立したという点で注目されるべき作品だろう。もちろん全曲彼の手によるものだが、特に心境の変化があらわれやすい歌詞も聴き逃さないで欲しい。"微かな色を帯びた世界 寂しさを感じる"〜「Ares」"祈ることの儚さに気付いた僕は 貴方に何もできなくて"〜「Asrum Dream」そんなGacktがつむぎ出す言葉の固まりには、彼の心情が見え隠れし、時にはそれが痛々しくも感じる。しかし本作には抗いがたい寂しさや儚さに毅然と立ち向かっていくGacktの姿も見える。そんな"葛藤の姿勢"には多くの人々の共鳴を得る可能性があるのでは?
 そして、このアルバムで明らかになったGacktの世界は、決して高い壁に囲まれてはいない。人間の弱さだったり、儚さだったり、"暗"の部分が取り上げられがちだが、すべては日常の裏側に隠されているものだろう。時には痛々しさを伴っても、そこから目をそらすことなく生きていくことの強さ。それが彼のソロ活動でたどり着いたひとつの答えなのかもしれない。ぜひこのアルバムを聴いてそんなGacktの世界に足を踏み入れて欲しい。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『MARS』
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CD
日本クラウン
CRCP-20239
¥2,952(税抜)
4月26日発売

ソロ活動を開始し、今年に入ってからの3作連続リリースのシングルに続く、初のソロ・ファースト・アルバム。すべてGacktの手による全12曲。「Vanilla」「Mirror」等シングル曲のアルバム・ヴァージョンも収録。

【DEARS(Gackt OFFICIAL WEB SITE)】http://gackt.com/

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