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 今年に入ってから、名盤やレア音源の数々が惜しげもなくリイシューされてきましたが、今月もファン待望のリリース情報をお届けします。
 まずご紹介するのは、このコーナーには珍しく新譜です。98年に『ミスター・ドリームズヴィル〜夢の旅人』を発表、奇跡のカムバックを遂げたハース・マルティネスの新作が発売になります。タイトルは『フィーリング・ソー・ファイン』。これは「フィーリング・ソー・ファイン」「ファイヴ・フォー・サンバ」「スローリィ」「フィーリング・ソー・ファイン(インストゥルメンタル)」4曲入りのマキシ・シングルで、1曲目は何とハースとヴァレリー・カーターのデュエット+ヴァン・ダイク・パークスがアコーディオンで参加という、まさに夢のような曲。また「スローリィ」は、昨年4月の来日公演で収録されたライヴ・ヴァージョン。なお5月25日にはそのライヴを収録したアルバムもリリースされる予定。彼独特の暖かみある歌声は、我々の心に安らぎと幸せを与えてくれます。
 もう1枚は、ソフト・ロック・ファンには待望の世界初CD化作品。72年にアメリカMGMレーベルからリリースされたヘヴン・バウンド・ウィズ・トニー・スコッティの名盤『ブレイキング・アップ・イズ・ハード・トゥ・ドゥ』が遂にリリースされます。このヘヴン・バウンド・ウィズ・トニー・スコッティについてはあまり知られていないと思いますので簡単にご紹介しますと、ラヴ・ジェネレーションのプロデューサー/コンポーザーとして知られるトミー・オリバー、元サンレイズのメンバーであるエディ・マドーラ、Voを担当する紅一点のジョーン・マドーラ、ウェスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンドのメンバーとしてまたプロデューサーとして活躍し、後にMGM副社長になったマイケル・ロイド、そしてこのプロジェクトの中心人物でVo、アレンジ、プロデュースをこなすトニー・スコッティの5人からなるグループで、本作は美しいハーモニーとポップなアレンジが高度なレベルで融合した、まさに隠れた名盤なのです。また収録曲もフォークのスタンダード「Five Hundred Miles」のカヴァーに始まり、ポール・ウィリアムス-ロジャー・ニコルスのコンビによる名曲で、ポール自身やカーペンターズのカヴァーでも知られる「I Kept On Loving You」、バッファロー・スプリングフィールドの「Bluebird」「On The Way Home」のカヴァー、そして美しいメロディ・ラインとハーモニーが魅力的な「Come Run With Me」、ビートルズでおなじみの「I Will」のカヴァーなど良質な楽曲が満載。なお、このオリジナル・アナログ盤は一部曲を差し替えて計2回リリースされていますが、今回のCD化に際しては発表されたすべての曲を収録。中古盤市場でも人気が高く入手困難だっただけに、嬉しい再発です。(ちなみにHOWのベーシストとして活躍中の関美彦さんは、その昔"HEAVEN BOUND"というグループを組んでいました。このアルバムの影響があったかどうかは、只今調査中。)

Text by 土橋一夫(編集部)
(初出『Groovin'』2000年4月25日号)

ハース・マルティネス・ウィズ・ヴァレリー・カーター
『フィーリング・ソー・ファイン』
ハース・マルティネス-J.jpg




CD
ドリームズヴィル
YDCD-0029
¥1,200(税抜)
発売中

ヘヴン・バウンド・ウィズ・トニー・スコッティ
『ブレイキング・アップ・イズ・ハード・トゥ・ドゥ』
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CD
ヴィヴィド
VSCD-744
¥2,500(税抜)
5月15日発売

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