ARTIST PICK UP
タヒチ80
フランス発!噂の超話題の新人タヒチ80。
『パズル』をド真中から作りはじめるような、余裕と確信に充ちあふれたサウンド。
そのウラにはポップス界きっての職人達の仕掛けがあった。
(初出『Groovin'』2000年4月25日号)
「数多くのギター・ポップ・バンドの中でも群を抜く傑出した作品力。」「これがまだデビュー作という事実を忘れてはならない。」「すべてのポップス・ファンが描いてきた理
想の作品を、いとも簡単に作り上げてしまった。」これは今回紹介するアルバムが有名音楽誌でうけた評価のほんの一部である。無名の新人、タヒチ80。ヴォーカルのクザヴィエ・ボワイエを中心とする、フランス出身4人組のギター・ポップ・バンドだ。
ところがクレジットに目を通すと、ナント、ナント!聴く前から音が聞こえてきそうなくらい、一本スジの通ったメンツが名を連ねているではないか。プロデューサーにIVYのアンディー・チェイス、ゲスト・ミュージシャンにエリック・マシューズ、FOUNTAINS OF WAYNEのアダム・シュレシンジャー…と、いずれ劣らぬUSギター・ポップ界の"違いのわかる"才人達が集結しているのである。
実際の音がもちろん「そのスジ」の音であった事は、言うまでもない。これら才人達の本領発揮ともいえる芸術的センスによるサウンド・プロデュースと、バンドの魅力を最大限に引き出すことによってできた音は、まさに"上質ギター・ポップ全開!"であり、最大の魅力である万人受けとも言えるキャッチーなメロディーも全編にあふれ、アルバム全曲を通しても全く飽きを感じさせない。
それにしてもいいメロディーをいっぱい知ってる。メンバー全員の音楽オタク度はかなり高いのではないか?その知識とセンスを一片、一片のピースに見たて、1曲、1曲作りあげられ完成したこの『パズル』には、ある意味ポップ・ミュージックの歴史めぐりと言うか、標本を集めたようなカラフルさを感じる。
聴き終えてみて、先述の過剰とも思える前評判が嘘ではないような気がしてきた。「本物」より本物らしく描かれた果物はきっとこんな味がするに違いない。
Text by 中澤雄二(静岡イトーヨーカドー店)
『パズル』
CD
ビクターエンタテインメント
VICP-61032
¥2,400(税抜)
発売中
先行シングルM1以外にもM3、7と、特にダンス・ミュージック好きのリスナーには、自信を持ってオススメ出来る女性Voモノの1枚。洗練されていて、カッコイイ!と誰もが思えるアルバム。声はアニー・レノックスに似ているような…。