倉木麻衣

デビュー作品「Love, Day After Tomorrow」が今だブレイク中の倉木麻衣。
2ndシングル「Stay by my side」に続いて、
3rdシングル「Secret of my heart」を連続リリース!

（初出『Groovin'』2000年4月25日号）

　たった4ヶ月で、2000年の音楽シーンに間違いなく名を残す活躍を遂げた倉木麻衣。昨年12月にリリースしたデビュー作「Love, Day After Tomorrow」がジワジワと売上を伸ばし、今年に入ってから大ブレイク。楽曲の良さに加えて、何といっても彼女のすばらしい歌唱力と声質に魅せられた人達（特にラジオ局とレコード店の店員）が、各所でヘヴィー・ローテーションで流し、一般のリスナーにも浸透して息の長いヒットになった。発売から3ヶ月経ってチャートの2位を獲得し、遂に100万枚を突破。彗星のごとく現れた彼女は、露出が少ないために知らない人もいるかもしれないが、まだ17歳の高校生なのだ。
　倉木麻衣とは一体どんな人物なのだろうか?詞の世界とデビュー当時から支えてきたサイバーサウンド・スタジオのスタッフの言葉から探ってみよう。ミキサー担当のミゲル・ペソア氏は麻衣の印象について「物事に謙虚な姿勢で、常に勤勉で積極的な所がすばらしい」とコメント。また彼女の周辺スタッフも、これだけブレイクしても彼女は今までと全く変わらず、"ごく普通の女の子"のイメージのままだと言う。しかし、スタジオでマイクを前にすると、一変して空気が変わってしまうというのだから（いわゆるオーラが出ている状態）、そこにはやはり天才肌の気質が伺われる。ところが歌っている内容は、妙に背伸びした恋愛でもなければ、コムズカシイ思想を繰り広げる訳でもない。些細な事で泣いたり笑ったりしながら、好きな人を純粋に思う気持ちを綴った、まさに17歳の等身大の姿が描かれている。時代が変わっても年齢を重ねても、ちょっとした事で喜怒哀楽の大きな波を経験する期間は誰にでもあるだろう。そんな淡くて切ない想いと、芯の強さを感じさせる主人公が彼女の詞には登場する。彼女自身が作詞を行っているため、このピュアな部分がリスナーにダイレクトに伝わり共感を呼んでいるのも、大きな要因だろう。
　ニュー・シングル「Secret of my heart」は、以前からテレビ番組でオンエアされていたものだが、リスナーから作品化を要望する声が多かったようだ。もちろん、この楽曲にも前述した魅力は濃縮されているが、ちょっと憂いを帯びたヴォーカルで情感たっぷりに歌い上げている新たな面にも、是非注目して聴いて欲しい。
　ミレニアムと言って騒いでいる人を尻目に、そんなに急に変化するものかと思ったりもしたが、彼女の登場によって確実に音楽シーンには"新世紀" "新世代"が到来しているのだと実感させられてしまった。
　ちなみに早くもファン・クラブが設立されたとの事。会報の発行以外にも特別プレゼントやインターネットF.CサイトへのPass I.Dナンバーの発行、FC会員のみのスペシャル音源の限定販売があるかもしれないそうなので、倉木麻衣をもっと知りたいという人は要チェック!（詳しくはhttp://mai-kuraki.com をご覧ください）

Text by 白河 倫