コタニキンヤ

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コタニキンヤ

巷で噂のマザコンロッカー"コタニキンヤ"。
最初で最後?正真正銘のベスト・アルバム!『HISTORY P-20』リリース!
いよいよ"キンヤがくる!?"

(初出『Groovin'』2000年5月25日号)

コタニキンヤ-A.jpg 女は意外とマザコン男に弱いものである。もちろん度を過ぎてしまうと深刻な問題になりかねないが、マザコンの特性"甘えん坊気質"は、ある意味モテる男の構成要素のひとつじゃないだろうか?言うまでもなく母親という存在は比較の対象が見あたらないくらい大きなものなので、依存してしまう男の気持ちも分からなくはない。戦争中、若い兵士が死の間際に吐き出す言葉は「お母さん」を指すものが多かったと聞くし。そして、無償の愛情を注いでくれる存在に対する居心地の良さは「甘える」という行為も含まれる。では、その大きな存在である母親にしか見せない「甘えん坊」の部分を目の前で見せられたら?いわゆる「母性」というものも働くだろうが、「君は母親のようにかけがえのない存在なんだ」といった意思表示に思えてしまい、この上ない愛情表現と受け取ってしまうのではないか?そして、女はあっさりとその術中にはまってしまうのだ。恐るべし、甘え上手のマザコン男。
 さて、自称"マザコンロッカー"コタニキンヤ。マザコンという限りなくなよっちい言葉と、ロッカーという男くさく、且つ、やや危険な匂いのする言葉。その二律背反にまずは衝撃を受ける。そして、そのルックスからマザコンの部分に妙に納得。世の中の婦女子がこぞって世話を焼きたくなる「甘えん坊」オーラをまとっているかのような少年風の佇まい。しかし、問題の"ロッカー"の部分はその風貌だけでは当然理解出来ない。
 ということで、早速CDを聴いてみる。またもやあっさり納得。コタニキンヤは「マザコン」などという言葉からは想像出来ないぐらい自己主張のあるシンガーだった。そもそもロッカーなんて自己顕示欲のかたまりであって当然。何かに埋もれてしまうようではお話にならない。しかし、コタニキンヤはプロデューサーであるMadsの作り出す個性の強いサウンドに埋もれることなく、歌で堂々と自分を主張していた。そのスタイルこそロッカーである。マザコンロッカー。その文句に嘘偽りナシ。
 そのようなかなり印象に残るコタニキンヤとの出会いとなった、デビュー・シングル「高熱BLOOD」から半年を待たずして、なんとベスト・アルバムが発売されるという。またもや混乱である。しかし、アルバムを聴いてここでも納得。この充実ぶりをベストと言わずしてなんと言おう。99年にリリースされたアニメのサウンドトラック『グラビテーション』の中で、BAD LUCK名義で発表された2曲、同アニメの主題歌・挿入歌としてシングル・リリースされた「Spicy Marmalade」(これもBAD LUCK名義)、デビュー前に実験的に「MC-K2」名義でプレ・リリースされたミニ・アルバム『Mad Soldier's LABORATORY』に収録の2曲にリマスターを施し、もちろんデビュー・シングル「高熱BLOOD」、2ndシングル「情熱BALLAD」も収録。そのうえ新曲も3曲!の計10曲。現時点でのコタニキンヤの世界を満喫するには充分な内容となっている。
 ライヴも即日完売。ラジオ番組で見せるキャラクターも噂を呼んでいるらしい。あらゆる面で私たちを楽しませてくれそうな予感。そうくれば、このアルバムはチェックしておいて損はない。もちろんコタニキンヤ入門編としてもおすすめ出来る作品である。
 そうそう、マザコン男に一度ハマるとなぜか抜けられないらしい。同じようにコタニキンヤの音楽も、彼の得意技"ラジ語り"も一度ハマるとなかなか抜けられそうにない。あっ、マザコンロッカーってそういうこと?恐るべし、コタニキンヤ。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『HISTORY P-20』
コタニキンヤ-J.jpg




CD
Antinos Records
ARCJ-137
¥2,913(税抜)
6月7日発売

今年1月に「高熱BLOOD」でデビューしたコタニキンヤの、なんと!ベスト・アルバムが本作。Madsのプロデュースにより別名義で発表した作品に、シングル2曲と新曲3曲を加えた全10曲。もうすぐ「キンヤがくる!?」かも?

【コタニキンヤ. オフィシャルサイト KOTANIKINYA.NET】http://kotanikinya.net/

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