GITANE

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GITANE

GITANEに最初の変化が起こった。
2ndアルバム『VANDALIZE』は、前作より一層サウンドのシェイプが濃く、
そして何より歌の陰影が強くなった!

(初出『Groovin'』2000年5月25日号)

GITANE-A.jpg 経験と実力と才能にあふれた3人組「GITANE」。ヴォーカル森岡純は元PTON!、ギター本田毅は元パーソンズ、ベース本田聡は元G.D.フリッカーズ、Rittzとそれぞれ趣の異なるバンドで活動していたが、その実力は高く評価されていた。そんな3人が集結し、発表したデビュー・アルバム『GITANE』は、実力通りのポジションをJ-POPシーンに確立した。鋭いエッジのギター・サウンドに、アバンギャルドなデジタル・エフェクトをかけ、無機質な世界観の歌をのせる。そのスタイルは、キャンディ・ポップに溢れるシーンに一石を投じ、確かな美意識を持ったロック・ファンの注目を集めた。その後、ライヴを重ねるごとに音の重量感が増し、自信に満ちたステージングを展開するようになった。そうした変化にも注目が集まる中での2ndアルバムだけに、期待はおのずと高まっていた。
 方向性としては、よりソリッドで透明感のあるものを予想していたのだが、サウンド的には期待通り、いや、それ以上に攻撃的なデジタル・ギター・サウンドだった。しかし、予想ハズレだったのは、森岡純の詞だった。明るくてカワイイ歌ばかり歌っていたPTON!時代の彼女はもうここには居ない。とにかく"陰影"が強くなった詞。例えば「もう誰も味方してくれない。だけど ねぇ 私はシアワセよ。」とラスト・ナンバー「AQUARIUM」で歌う。バンドとしてのサウンドをこんなにも充実させながら、孤独感を描く。この切りつけるような表現を誰が予感しただろうか?
 本作に関してのインタビュー中に、彼女は「シャガールの絵が最近好き。無表情な人間が空中に浮いている。それが私にとっての"絶望"と最大の"希望"」と答えたという。どうやら、彼女は表現者として一皮むけたようだ。そして、彼女自身、これまでとは異なる"何か"を見い出したのだろう。そんな彼女の成長ぶりがうかがえる"確信的"(革新的)な1枚。GITANEの代表作となるであろう、名盤の誕生である。

Text by 大林 誠(函南店)

『VANDALIZE』
GITANE-J.jpg




CD
徳間ジャパン
TKCA-71937
¥2,913(税抜)
発売中

更なる進化、そして革新を遂げた"GITANE"確信の2ndアルバム。人間のネガティヴな面、苦さなどを綴った詞を、アバンギャルドなデジタル・ギター・サウンドに乗せ吐き出す、表現者として一皮むけたヴォーカル"森岡純"に大注目の1枚。


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