AIR

ARTIST PICK UP

AIR

カタログとライヴの巨大な2本柱で活動してきたAIRにとって、
このライヴCDはベスト盤といってもいいだろう。
そして、届いたばかりの新曲には新たなAIRの姿が映し出されている。21世紀はもう目の前だ!

(初出『Groovin'』2000年6月25日号)

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 車谷さんを初めて見たのは1994年10月19日。この1年後には解散してしまうSpiral Lifeのコンサート会場だ。今でも「ラズベリーベル」を聴くと涙が溢れてしまう。この曲を収めたSpiral Lifeのファースト・アルバムは傷だらけになるまで何千回も聴いた。そして1996年AIRの誕生。歪んだギターのうねりと、その上に乗っかったcool な歌詞。でも歌声からはcoolとはほど遠い痛々しさを感じてしまう。初期のAIRは混沌とした時代を日々冷静に生きようとする車谷さんの悲鳴だったのだろうか…。
 <メロディーに乗せて詩を書くことも意味がないからやめた>と突然音楽生活を放棄したかと思わせるようなドキッとする発言をそのまま歌詞にした名曲「TODAY」。もし車谷さんに歌が書けない時期があったとしたら彼は正直であり、飾りのない言葉はダイレクトにリスナーの心に響くだろう。等身大の日常のひとこまを描いてゆく筆のタッチは決して細くはない。彼自身が経験した痛みをジャンプ台に<飛べなくても それでも飛べ>「DIVE & DIVE」と彼が唄えば本当に奇跡は起こるような気がしてしまうのだ。わたしは、車谷さんと出会って詞と曲を書くようになった。揺らぐことのない自分の道をやっと見つけた。
 1999年11月22日、車谷さんと郵便局のカウンターでバッタリ出会った。ちょうどSTOP THE EXPERIMENTS ON ANIMALSのスローガンを掲げて回っていたツアーを終えたばかりで、その収入の一部をご自分でJAVAとAVA-netに送金している所だった。普段着でフラッと寄付をしに行くあたり、やはり思っていた通りナチュラルな人だ。秋の穏やかな青空の下を颯爽と歩いてゆく車谷さんの後ろ姿はいつまでも消えずに私の心の中に残っている。
 さて、そんなAIRが初のライヴCDと東京ベイNKホールでのライヴの模様を収めたビデオを同時にリリースする。カタログとライヴの2本柱で活動してきたAIRにとってこれはベスト盤と言ってもいいだろう。前述したようなスローガンを打ち出した大きい会場でのライヴでも、200~300人でいっぱいになる小さなライヴ・ハウスでも、AIRのライヴはとにかくオーディエンスの熱気がすごいのだ。様々な会場で生まれた一瞬の断片からは確かにオーディエンスのAIRへの思いが感じとれる。また当初から一貫したメンバーであるBassの渡辺等さんとDrumsの佐野康夫さん。彼らのテクニックは言うまでもないのだが、ジャンルを越えて様々な音と接してきているミュージシャンだけあって随所に散りばめられたアドリブひとつとってみても聴く毎に発見があって楽しい。車谷さんのしなやかな歌声と、表情豊かな音たちが弦の響きに乗って新しい時代の風となった4/29東京ベイNKホールでのライヴ音源も折り込まれているので是非、聴いてみて欲しい。
 そして新しく届いた12thマキシ は今までのAIRとはひと味違ったアプローチだ。Pianoとコーラスワークをアレンジのメインにフィーチャーした、洗練された雰囲気を漂わせる楽曲に仕上がっている。そして、イラストレーターの"326"ことナカムラミツル氏が手がけた歌詞はひと筆書きで描いたようなスピード感がある。
 「車谷さん、あなたはどんな夢を描き続けているのですか?」世界中の人々の期待を背負って21世紀はあと半年で姿を現す。

Text by 森田みき(玉川高島屋店)

『New song』
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Maxi Single
プライエイド・レコーズ/ROOTS
RTCR-1009
¥971(税抜)
7月12日発売

Pianoとコーラス・ワークを大フィーチャーした12thマキシ・シングル。60年代〜70年代の古き良き時代のソフト・ロックといったところでしょうか。今までのAIRの楽曲とはひと味もふた味も違うアプローチで新たな展開を見せてくれる。「TBSテレビ夏のキャンペーンソング」に決定。

『MY LIVE AS AIR』
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CD
プライエイド・レコーズ/ROOTS
RTCR-1010
¥1,905(税抜)
6月28日発売

4/29東京ベイNKホールでのライヴも大成功に終わった。新たな時代を迎える前に20世紀の総決算!カタログとライヴの巨大な2本柱で活動をしてきたAIRにとって、このライヴCDは初のベスト盤といってもいいだろう。同発のライヴ・ビデオも必見!!

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