嶋野百恵

ARTIST PICK UP

嶋野百恵

コンセプトは、「今の自分を創り出してくれた、全てのモノ。」
デビュー以来、ひたむきに「ただイイ曲」をつくり続ける嶋野百恵は、
はからずもビジネス化するR&Bシーンに、拒絶も便乗もしない。

(初出『Groovin'』2000年6月25日号)

 まさに「百花繚乱」の日本のR&B。なんかとっても"バブリー"ですね。その「とりあえずR&Bテイストの楽曲で売り出す」というリスナーを馬鹿にしてるともとれる、無難?で安易な戦略は、そろそろ通用しない時期にさしかかったのではないだろうか?それは同時に「戦国時代」の到来とも言えるだろう。真のスター性や、明確なビジョンの無い者が生き残るには馴れ合いの「グループ」をつくるか、似たもの同士の「つぶし合い」をするほかはないだろう。
 そう、この「淘汰される」という不名誉な競争に参加するのは、魅力の無いアーティストだけなのだ。いくら有名アーティストや、海外プロデューサーの参加を訴え、「本物」を主張したところで、肝心の"うた"はどうなのか?所詮、われわれの決め手は楽曲の良し悪しなのである。bird、MISIAを例に挙げるまでもなく有能なアーティストは、メディアのでっち上げる"くくり"など難なく脱出するものなのだ。今回、ここに紹介する「嶋野百恵」しかりである。
 本人をして「原点への回帰。納得の出来。」と評するこのアルバムには、その『Roots』というタイトルにも表れているが、純粋にメロディーと詞にこれまでの「嶋野百恵」が反映されており、とても真面目に作られている印象を受ける。収録される「Next Lounge」「Hot Glamour」「Jr. Butterfly」の最近3作のマキシ・シングル曲も含め、DJ HASEBEなどHIP-HOPフィールド出身のアーティストをメインに起用することで、より本格的になったサウンドも、時代の空気を取り入れるという意味でしごく自然な流れで、あくまで「ウリ」は「詞の世界、声質」であることを、聞き手にも忘れさせない。

Text by 中澤雄二(静岡イトーヨーカドー店)

『Roots』
嶋野百恵-J.jpg




CD
ポニーキャニオン
PCCA-01437
¥2,913(税抜)
発売中

約2年ぶりのセカンド・アルバム。これまで通りのメロウネスな感覚をそのままに、最先端J-R&B、HIP-HOPのエッセンスを取りいれた充実の内容。自他ともに認めるHIP-HOPへの傾倒ぶりには、頼もしさすら感じられる。

【嶋野百恵 OFFICIAL WEBSITE】http://www.shimanomomoe.com/blog/

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