JUDY AND MARY

SPECIAL SELECTION

JUDY AND MARY

約2年8ヶ月ぶりとなる待望のフル・アルバムは、超充実作。
新たなステージに突入したJUDY AND MARYが、
さらに21世紀に目指すものとは?

(初出『Groovin'』2001年1月25日号)

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 「大人になる」っていう言葉に、あなたはどんな感覚を抱くだろうか?もしかしたらそれは「社会人としての責任と自覚を持つこと」かも知れないし、ある人に言わせれば「不確かな夢や希望を見直しながら、それを着実なものに置き換えていく作業」であると言うかも知れない。僕はよく「最近丸くなったね」なんて人から言われることがある。これにはちょっと複雑な感じもする、実際のところ。色々な経験や外的刺激によって自分の中での尖った部分…それはもちろん心の中でのことだが…が少しずつ削ぎ落とされていくとき、人は成長し洗練されていくものなのだ、と理屈では分かった気分になっていながらも、実は一抹の寂しさも同時に感じていたりする。そんな僕にとって、ある意味理想的であり魅力的に映るのが、JUDY AND MARYの存在とそのスタイルだ。
 昨年3月に初のベスト・アルバム『FRESH』を発表し、初期の代表曲から昨年2月発売の「Brand New Wave Upper Ground」までの7年間にわたる作品を網羅したこれぞベスト盤という内容でファンを喜ばせたのは記憶に新しいところだが、そんなJUDY AND MARYの約2年8ヶ月ぶりとなるフル・アルバム『WARP』が遂に完成した。オリジナル・アルバムとしては実に98年の『POP LIFE』以来。しかも2000年にリリースされた3枚のシングル「Brand New Wave Upper Ground」「ひとつだけ」「motto」に加え、今月発売されたばかりの「ラッキープール」まで収録という4枚のシングルをフィーチャーした、超充実盤なのだ。本作で特に目を引くのは、アルバムのプロデュースとアレンジ、そしてヴィジュアル面までを手がけた、ギタリストTAKUYAの存在。サウンドを構成するそのベースとなるものは彼のギター・サウンドであるのは言うまでもないが、もちろん本作ではギターのみならずキーボードから弦楽器までを幅広く担当し、その結果サウンド全体の方向性を決定づける大きな役割を果たしている。そしてさらにYUKIのヴォーカリストとしての存在感と表現力が、言葉のひとつひとつを鮮やかに目の前に再現していく。JUDY AND MARYはもう既にベテランの部類に入るバンドだと思うが、しかしながら彼らの初心とも言えるワイルドさと疾走感、そしてその中に一際光る洗練されたYUKIの感覚と作詞能力、プロとしての大人の感覚とその中に生きる無邪気さ、といったものが絶妙にミックスされそれぞれに相互作用し、どれも同等の力を持って耳に襲いかかるのはさすがといったところだ。
 もう21世紀を迎えてしまった今、『WARP』はどんな色を伴ってあなたの耳に届くのか、僕にはすごく興味があるところだ。きっと『WARP』は「20世紀も21世紀も、素晴らしいものへの価値観は不変である」ということを実証し、そしてあなたはそれに気づくことだろう。もしかしたら僕らは、歳をとることによって「大人になったふり」をしているだけなのかも知れない。そう、何も変わっちゃいないんだ。進化しながら相変わらず走り続けるJUDY AND MARYのサウンドを聴き、彼らのスタイルを再確認しながら、僕はそんなことを考えていた。

Text by 土橋一夫(編集部)

『WARP』
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CD
Epic Records
ESCB-2222
¥2,913(税抜)
2月7日発売

オリジナル・アルバムとしては実に約2年8ヶ月ぶりとなる待望のフル・アルバムは、大ヒット・シングル「Brand New Wave Upper Ground」をはじめ4枚のシングルをもちろん網羅した、今のJUDY AND MARYを体感できる超充実作。「ひとつだけ」は別ヴァージョン。

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