DREAMS COME TRUE

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DREAMS COME TRUE

DREAMS COME TRUEが21世紀最初に送るニュー・シングルは、
切ない心の呟きがじんわりと伝わってくるようなミディアム・ナンバー。
「好きだけじゃだめなんだ」〜そう呟いたあの時を思い出してみて下さい。

(初出『Groovin'』2001年1月25日号)

 「好きだけじゃだめなんだ」そんな何とも切ない心の呟きを、いくつかの恋愛を経験した人なら一度は漏らしたことがあるのでは?"好き"という気持ちだけで無邪気に一緒にいられるのは実はほんの短い間で、恋愛には思ったよりもたくさんのルールや、どうしても乗り越えられない壁があるのかもしれない。そして、そんな不確かなルールや周囲の複雑な状況が、想像もしなかった感情や言葉を生んでしまう。好きだという気持ちは変わらなくても、抗えない風が吹いてきて突然2人を引き離してしまう。それは決してドラマの中だけのお話ではない。誰にでも起こりうることだ。
 ドリカムの21世紀第1弾リリースとなる今作は、そのタイトルがすべてを表しているような痛いほど切ないラヴ・ソング。詩・曲とも吉田美和の手によるものだが、恋愛を歌で表現することに関して、今彼女の右に出るものはいないだろう。例えば日常的な言葉で綴られる詩は、当然彼女の想いが表面化したものなのだが、ドリカムを聴いていると、それは自分の気持ちなんじゃないか?と錯覚してしまう。得てして音楽で表現されるところの恋愛は絵空事に終始してしまいがちだが、彼女の場合は非常にリアルなのである。だからだろうか?ドリカムの歌を聴くと自然に泣いたり、笑ったり、幸せな気分になったり、楽曲の中の主人公になっている自分に気付く。
 今作「好きだけじゃだめなんだ」の詩には、終わった恋の中にいつまでも佇んでいるようなやり場のない切なさが、まるで日記を綴るようにエピソードを織り交ぜながら描かれている。人を好きになって、とにかく幸せで、だけどある時不安になって、そして選んでしまった別れの後に残る切なさは、どうしようもなく痛い。自分の気持ちと現実との折り合いがつかない。そんな時にふっと浮かぶ言葉は「好きだけじゃだめなんだ」。
 さらに、痛いほどの切なさはその歌詩だけでなく、今作では彼女が手がけたメロディの中にも込められている。心の微妙な揺れを表すようにゆったりと繊細に流れていくメロディ・ラインは、彼女の詩の世界と同様にオリジナリティの高いものであるが、つい口ずさんでしまう親しみやすさも十分兼ね備えている。また、前作「24/7」は緻密に計算されたサウンドという印象があったのだが、今作はメロディと詩の世界を真ん中に置いたシンプルな音作りになっている。それが結果的にこのミディアム・ナンバーの切なさを増し、リスナーを楽曲に引き込んでしまう要素のひとつになったのではないだろうか。
 今作を聴いて、それぞれに去来する思いや浮かんでくる人物がきっとあるはずだ。リスナーは知らず知らずのうちにこの切ないラヴ・ソングの主人公になってしまうだろう。そして呟いてしまうに違いない。「好きだけじゃだめなんだ。でも…。」その先の物語は、この曲を聴いた人に委ねたいと思う。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『好きだけじゃだめなんだ』
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Maxi Single
東芝EMI
TOCT-56004
¥971(税抜)
1月31日発売

21世紀初のリリースとなるドリカムのニュー・シングルは珠玉のラヴ・ソング。カップリングには前作シングル「24/7-TWENTY FOUR/SEVEN-」に続き"club DCT garden VOL.2"と題し、限定アナログ盤でしかリリースされなかった中村正人によるリミックスを2曲収録(TOTAL 24分13秒収録)。

【DREAMS COME TRUE :: D C T g a r d e n】http://www.dctgarden.com/index2.html

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