宇多田ヒカル

ARTIST PICK UP

宇多田ヒカル

いよいよ新作リリース!
満を持して放つニュー・シングル「Can You Keep A Secret?」。
これは新世紀"宇多田ヒカル・スタイル"の序章にすぎない。

(初出『Groovin'』2001年2月25日号)

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 デビュー・アルバムにして出荷枚数863万枚という、前人未到の記録をつくってしまったアノ『First Love』リリースからもうすぐ2年が経つ。塗り替えたのは記録だけではない。方々で言われる事だが、宇多田ヒカルの出現を境にいわゆる"売れ筋"という路線(流行)そのものが変わってしまったということだ。それにともないシーンの勢力分布にも変化が生じている。もちろん何年も前から存在はしていたが、J-R&BとかJ-HIP HOPなんていうジャンル又は表現も、突然標準語のように使われだしたのだって、この後のことだ。
 こうしてJ-POP史に名を残すこととなった宇多田ヒカルであるから、その後の活動に世間の注目が集まるのは当然だろう。現にリリースの度に、ファンはもちろん、音楽業界全体にも大きな波が起こった。この2年間、まさにアーティストとしての真価が問われ続けてきたわけであるが、このような過剰な注目が集まる状況下でリリースされた3枚のマキシ・シングルを聴いてみると、アーティスト:宇多田ヒカルとしての真偽をハッキリさせることが出来る。リリースの数では国内アーティストとしては決して多いとは言えないが、どれも1stアルバム収録曲を凌ぐ完成度である事は明白で、聴けばすぐにわかる、独特の絞るようなヴォーカル・スタイルも、キャリアを重ねるごとに磨きがかかり、これまた個性的な彼女の詞の世界を表現する上でも、もはや不可欠なものとなっている。
 そして今作「Can You Keep A Secret?」。前作より8ヶ月振りとなる注目の新曲は、我々の期待にこたえるには充分な出来になっている。動向が注目される中、見事にプレッシャーをはね返し、新境地を開いた最先端R&B路線はそのままに、ストーリー性を加味したドラマチックな展開には、聴き手を引きずりこむ魅力があり、切々と歌い上げるヴォーカルには、2年前には無かった余裕と貫禄が感じられる。大成功に終わったコンサート・ツアーの成果だろうか、日本を離れての生活がそうさせたのだろうか?いずれにせよ、アーティスト:宇多田ヒカルの揺るぎない自信がその歌声から感じられるのは確かだ。さらに今作では、彼女ならではの詞の世界が一段と深みをみせ、内面の成長までも伺わせる。さらにカップリング曲「蹴っ飛ばせ!」は、意外にもロック調で、エレクトリックなアレンジがキュートな佳曲に仕上がっており、こちらも彼女の成長ぶりと、音楽性の幅広さとを伺わせてくれる。
 着々と自己のスタイルを完成させ、より優れた楽曲を追及し続ける限り、宇多田ヒカルのトップ・アーティストとしてのポジションは不動だ。これからも存在感のある名曲を届けてくれるだろう。この曲も進化する"宇多田サウンド"の中では、ほんの一面に過ぎない事は、3月28日にリリースされるセカンド・アルバム『Distance』を聴けば解るだろう。その日を心待ちにしている。

Text by 中澤雄二(静岡イトーヨーカドー店)

『Can You Keep A Secret?』
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Maxi Single
東芝EMI
TOCT-4301
¥1,048(税抜)
発売中

セカンド・アルバム発売直前の宇多田ヒカル、8枚目のシングルをリリース!名バラード「First Love」以来のドラマ主題歌としてすでに大量オンエア中だ。エレクトリックなアレンジでキュートなカップリング曲は、意外にもロック調の佳曲です。

【宇多田ヒカルのオフィシャルサイト】http://www.emimusic.jp/hikki/

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