Λucifer

ARTIST PICK UP

Λucifer

Λuciferが待望のセカンド・アルバムを完成させた。
絶え間なく変化し続ける彼らの姿を見失うな!
『BEATRIP』いよいよリリース!

(初出『Groovin'』2001年2月25日号)

リュシフェル-A.jpg 「なんということだ。Λuciferがどんどん立体化している!」思い返せばデビュー当時、アニメ「快感フレーズ」から抜け出した5人は、まるで幻想と現実の間に浮かんでいるような存在だった。そしてその希有な存在から奏でられる音楽も同じように、虚構でもあり、現実でもあるという独特の世界観を持って私たちに今までにない刺激を与えてくれた。確かにそうした特殊な存在感こそ彼らの魅力のひとつでもあっただろうし、事実、私がΛuciferに魅せられたきっかけも、そのどこか二次元的な感覚であったはずだ。
 しかし、最近のΛuciferは違う。いちロック・バンドとしての存在感、繰り出されるビートの重量感、サウンドの質感…すべてがメンバーの強い意志と共にムクムクと三次元化し、リアルな存在へと変化しているような気がしてならないのだ。
 まず何よりも、MAKOTOのヴォーカルの表現の幅が急速に広がってきている。その原因のひとつに挙げられるのが、昨年秋にさいたまスーパーアリーナで行われたミュージカル「NINAGAWA 火の鳥」。作品的にも会場的にもスケールの大きなこの舞台でのパフォーマンスは、彼にとって大きな収穫となったに違いない。なぜならそこで要求されるのは、自分をむやみやたらと大きく見せることではなく、自分の感情を広く伝えることだから。そして、そのために彼に与えられたのが"声"であり、"歌"である。ヴォーカリストのMAKOTOにとって大きな試練ともいえるそうした経験が、彼の表現方法を大きく変えたのではないだろうか?事実、その直後にリリースされた「TSUBASA」で披露されたヴォーカルは、まさに大空のような広い空間を感じる事の出来る、今までにないスケール感のあるものだった。
 そして、いよいよ前作から1年2ヶ月ぶりのアルバムとなる『BEATRIP』が完成した。今作もシンプルなバンド・サウンドであることはデビュー以来変わらない点だろう。余計な装飾は一切なしの正攻法である。しかし、メロディにもサウンドにも俄然奥行きや広がりが感じられる。それは例えば、ポップなのにダーク、優しいけど激しい、希望の中の絶望…そんなふうにこのアルバムに収められた楽曲には必ず"影"の部分が存在している。そして、そういった楽曲内に浮かび上がる陰影がサウンドに立体感を持たせ、独自の世界観を作り上げているのだと思う。また、佐久間正英氏のプロデュースにより制作された5曲のヒット・シングルの収録に加え、トータル・プロデューサーにTAKUYA氏(JUDY AND MARY)を迎えたことによって、楽曲単位にとどまらず、アルバム全体にも奥行きが出ていることも特筆すべき点だろう。しかも、こうして1枚のアルバムに収められることによって、全曲にΛuciferの存在感がはっきりと出ていることが改めて確認できる。そういう意味でも、今作はΛuciferのサウンドを確立した記念すべき1枚だと言って良いだろう。
 Λuciferが3D映像で迫ってくるかのような今作『BEATRIP』。その感覚をぜひとも自分の耳で確かめてみてほしいと思う。さらにその感覚を体中で味わいたいと思ったなら、3月8日からスタートする全国ツアーに足を運んでみることをおすすめする。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『BEATRIP』
リュシフェル-J.jpg




CD
UNLIMITED RECORDS
POCE-8203
¥2,913(税抜)
発売中

JUDY AND MARYのTAKUYA氏をトータル・プロデューサーに迎え、前作『LIMIT CONTROL』から1年2ヶ月ぶりにリリースされるセカンド・アルバム。佐久間正英プロデュースの5曲のヒット・シングルを含む全10曲を収録。初回盤のみ20P オリジナル・フォトブック封入。

【Λucifer 10th Anniversary Official Website】http://www.lucifer10th.com/

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