今井美樹

シンガー今井美樹の
ありのままが収録された、ライヴ・ベスト盤
『IMAI MIKI TOUR 2000 In Club Hemingway』リリース!!

（初出『Groovin'』2001年2月25日号）

　今井美樹といえば、そのスリムなボディと長い足で、カッコよくジーンズをはきこなし、彼女が笑えば、その大きな口だって素敵なチャームポイント。その昔、彼女が出演していた化粧品のCMで、その口を強調するかのような鮮やかな赤い口紅を付け満面の笑みをたたえる彼女は、「コンプレックスは隠さなくてもこんなに素敵になれるのよ」と世の中の女性達に救いを与えたし、"Tシャツにジーンズ"のカッコよさを教えてくれたのもそう、彼女だった。まさに時代がもてはやした「ナチュラル」を地でいくようなイメージとセンスのよさは、同世代の女性の"憧れの的"。街中に"今井美樹ヘア"がはびこったこともあった（そーゆー私もその1人だ…赤面）。
　そんなわけで、未だに彼女の絶大なる支持の大半が女性なのである。が、しかーし、それだけではない。彼女がデビュー以来十数年に渡って、女優としてだけでなく歌手として支持され続けているワケ、ここが重要なのだ。
　そのワケとは、彼女が生まれ持っている「声の魅力」。清涼感溢れる無理のない歌声、これこそ「ナチュラル・ヴォイス」と言うべきか、あの朗々とした伸びやかな、それでいて包み込むような暖かみのある歌声。これはおそらく練習や努力なんてもので得られることはできないだろう。もちろん歌をやる以上、練習や努力はしていると思うが、それは元々持っている原石に磨きをかけるようなもの。持っている原石がただの石ならば、石なりにしか光ることができないということだ。石でもいいだろう、それはそれなりに魅力のある石になるかもしれない。でも、彼女が持っていたのは、人々を惹き付けて魅入ってしまうほどの引力を持つ石…すなわち宝石だったのだ。そして、その一種癒し的にも聴こえる歌声で、等身大の女性を唄う。今や社会で男性と同等に肩肘はってがんばる女性達は、今井美樹の歌の中に自分を投影し、ひととき自分の中にある"女の子"を取り戻すのだ。これが今井美樹が女性達に支持される所以とみた。彼女達が仕事が終わってカラオケに行くと、しまい込んでいた"女の子のワタシ"を吐き出すようにマイクにぶつけて確認する。「だって女の子だもん、恋だってするわよ。」今井美樹がカラオケでもよく唄われる訳がここにあるのだ。
　そんな彼女も、最近ますますしっとりと大人の魅力を増してきた。昨年はドラマで8年ぶりに主役を演じ、アルバム『太陽とヘミングウェイ』のレコーディングや、コンサート・ツアーなど精力的に活動した1年だった。そして今回、昨年行われたツアー「"月夜の恋人たち" in Club Hemingway」のライヴ音源を収録したアルバム『IMAI MIKI TOUR 2000 In Club Hemingway』が発売された。クラブ・ヘミングウェイのテーマは、南の島。大好きな場所で気持ちいい音楽に身をゆだね、リラックスできる場所。そこで行われるワンナイト・セッションをイメージしたとか。そんな雰囲気の伝わる温かいステージをオープニングからアンコールまで全曲網羅している。生の彼女の魅力が盛り沢山！ビデオ・DVDも同時発売。

Text by 谷口郁子（玉川高島屋店）