椎名純平

ARTIST PICK UP

椎名純平

ニュー・クラシカルなソウル&グルーヴの陰で開花する
時代観あふれる心情描写。
新曲「無情」は純平ソウル&ロマンの本領発揮作!

(初出『Groovin'』2001年2月25日号)

椎名純平-A.jpg ♪二人の愛は光の速さで駆け抜けてく 止められない 無情なほどに追い込まれてく♪…というサビのメロディーと詞が、一度聴いたらくっきりと脳裏に焼きつけられてしまう。椎名純平の4ヶ月ぶりのニュー・シングルは、青春から成熟へのステップを性急に駆け昇っていく年代の、誰しもが経験するどこか不安な恋愛を、エモーショナルに、しかし、どこかクールに歌った秀曲だ。
 「あのサビの部分の歌詞が、最初に浮かんで…最初は嫌だったんですよ。なんか俗っぽい感じで…。でも、この"落ち着きのない感じ"が、曲を書くうえでのテーマだったから、このサビを生かすことにして、イントロでテーマがあり、再びテーマに戻る、という構成にしたんです。」
 各地のクラブを騒がしているホットなステージでの熱っぽくワイルドな歌声の印象とはまた異なり、自身の作品や音楽観、足跡などを語るオフ・ステージの彼の声は、クールで知的。もの静かな印象さえ伝わってくる。
 インディーズ時代の90年代後期はもとより、SLEEPY TONGUE(大沢伸一/田中義人/野崎良太のチーム)とコラボレートしたメジャー・デビュー・シングル「世界」のリリース時(00年11月)でも、椎名純平に寄せられ付着する印象は、フルにグルーヴするフェンダー・ローズ・ピアノを弾きかつ歌うR&Bシンガーというもので終始している。
 もちろん、ポップでダンサブルなJ-SOUL全盛の現在、女性アーティストにはないディープなアプローチを持つ彼の歌やエレ・ピは、待望のR&Bの個性、として珍重されて当然である。だが、彼の身上は、「世界」の詞にも、もちろん新曲にもあらわれているように、このどこか不安定な時代の中に生きる心情を繊細かつ大胆に描くタッチだろう。そういう意味で、なんとも魅力的なシンガー&コンポーザーが登場したものだと思う。来るべきフル・アルバムが待ち遠しい。

インタビュー & Text :大伴良則

『無情』
椎名純平-J.jpg




Maxi Single
SMEJ Associated Records
AICT-1297
¥1,165(税抜)
発売中

1stシングル「世界」のスイート・ポップ・ソウル調から一転して、自身のバンドEvil Vibrationsとのフリーで息の合った演奏によるライヴ感あふれるサウンドに注目したいミッド・バラード。ローズ・ピアノとギターが織りなすスペイシーな感覚が実に新鮮だ。

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