桃乃未琴

ARTIST PICK UP

桃乃未琴

楽しいから唄っている。
体の中から、普遍的な「言葉」を聴いてみませんか?
唯一無二の圧倒的なヴォーカルの「体温」を感じてみませんか?

(初出『Groovin'』2001年2月25日号)

 『地気遊戯』というタイトルがつけられたサード・アルバムが届いた。文字通り「ち・き・ゆう・ぎ」と読む。あの社会の授業で使ったクルクル回る球形の地図、地球儀から来ているMOMO'S 語というわけ。地球という星に生まれた私が"大地"と"空気"を感じながら、遊び楽しむという意味が込められている。桃乃風に言うと「アタシが地球を転がしてる」とか「地球がアタシにぶつかってきた!」となるらしい。タイトルをつけるのが苦手とのことだが、なかなか、ど〜して!の素ん晴らしぃ〜というか気になるタイトルがつけられていると思う。とにかく笑ってしまった。ユニークな人だと思う。
 今回のアルバムを聴いて始めに感じたのは"楽しい"という印象だった。確かに歌詞は鋭かったり、痛かったり、ホッとしたり、色々な"アタシ"がいるんだけど、それを盛り上げてる10のメロディが、アコースティックなメロディアス・スウィート・ロックに乗っているとでも言いましょうか。一本筋が通っているとしたならば、やっぱりロックなんでしょうけど。とにかく、どの曲も聴いていて凄く気持ちが良い!しかも、それぞれ違った表情が見られる内容となっている。
 このアルバムに収録されているシングル2曲を例に出してみると、まず「青いトゲ」。自分の中身を開け放つこと、そんな事がテーマになって繰り広げられた世界。人間みんな中身はこんな事を考えているのかも知れない。エッジのきいたサウンドが印象的。「青いトゲの〜ありかを知る〜」のメロディが印象的。「自分の手では何ひとつ くだすコトはできない」「待つ事しかできない」と"アタシ"は唄っている。
 そして「大切なコト」。大きな意味での包容力を感じる曲。某大型ロック・フェスティバルでの活躍が認められ、音楽的に高い評価を受けた。そんな中発売されたミディアム系ラヴ・バラード。クレジットを見て驚いたのがこの曲、玉置浩二氏が作曲をした曲だった。クレジットを見なければ、まったく気がつかない程の桃乃節炸裂。ま、そんなに大袈裟で無いにしても桃乃風に、桃乃カラー1色となった。この曲は"アタシにはアナタが必要で…"といった当たり前だけど「大切なコト」を唄っている。「泣きながら笑いながら 大切を心で知るのよ」「喜びも悲しみも感じていたい」と。
 このシングル曲2曲は全く違う曲調のものだけど、1つだけ共通している事がある。それは"アタシ"="桃乃未琴"の図式が成立し、全てが彼女の素直な気持ちであるという事。公式ホームページ上に書き込まれた「前に進むためには伝えなきゃいけないこと 口に出さなければ自分で溺れる」という言葉が印象的だった。こういうふうに思った事を口に出して表現する強さが彼女にはあると思う。自分で要求の多い人、欲張りだと言っていたが、とても素直でナチュラル。そして今回のアルバムは、そんな"アタシ"が遊んだ記録だとか。率直な気持ちが綴られた曲達は全て「あ、これわかるわかる」という感じだけど、言葉にするには少し照れてしまう。一緒に遊んで(演奏して)くれたミュージシャン達も楽しんで演奏。だから"アタシ"も楽しい、だから唄う。だから聴いている私達も楽しい。

Text by 有田幸恵(島田駅前店)

『地気遊戯』
桃乃未琴-J.jpg




CD
ビクターエンタテインメント
VICL-60697
¥2,900(税抜)
発売中

約1年振りとなる3rdアルバムが届いた。地球儀をもじって創られた言葉のタイトルは、このアルバム全体のイメージにぴったりくるもの。色々な世界があって「地」と「気」を感じ遊ぶ。ナチュラルで自由な気持ちのいいアルバム。自信を持っておすすめする1枚!

米現在はひ、平岡恵子として活動中。
【『voyaki』 平岡恵子ブログ】http://keiko-voyaki.jugem.jp/

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