Vlidge（ヴリッジ）

ハートウォームでスリリングな彼らのハーモニーは、
美しいメロディとクールなサウンドに包まれて、
冷え切った心の芯を暖めてくれる魔法の音楽を奏でてくれる。

（初出『Groovin'』2001年2月25日号）

　効率ばかり重視された情報過多のカオスの中で、暮していくためだけの経済活動にどっぷり漬かっていると、 音楽に浸れたり、酔いしれたりという事が、大変難しくなってきているようだ。自分のテイストやスタイルに合わなければ、簡単に「削除」を行い、自ら心地よさを演出しようと躍起になってしまう。その結果、本来持っているそのアーティストの資質や、作品に込められたマインドなども素直に解することができず、おのずとそれらを淘汰してしまうという状態に陥っている。しかしもう大丈夫。このVlidgeの1stアルバム『Everybody Needs Love』を聴けば、CD1枚を通して彼らのピュアな音楽に聴き惚れることができるから！
　KIICHIとKYUのスリリングで、なおかつハートウォームなハーモニーと、素晴らしく美しいメロディ・ラインをもった楽曲は、私達をこのアルバムに釘付けにするほどの魅力を放っている。そして2人のフェイヴァリット・アーティストでもあるＫ-CI&JOJO（！）や、ウィル・スミス、クリスティーナ･アギレラのレコーディング・エンジニアでもあるロブ・シェアリーと、パフ・ダディとのコラボレイトでも活躍中の、プリンス・チャールズ・アレキサンダーがほとんどの楽曲のミックスを手掛け、80年代のブラック・コンテンポラリー・サウンドと、現在のメイン・ストリームであるヒップ・ホップ・テイストが見事にマッチしたVlidgeの魅力満載のアルバムに仕上がっている。
　彼らは言う〜「どんなマイナス思考の人でも、プラスの要素はきっとある。そういうプラスの要素をVlidgeの音楽を通じて引き出すきっかけになり、そして心の芯で、誰もが愛と言うプラスの要素を感じていてほしい」〜2人の奏でる荘厳なハーモニーが、きっと私達をその気にさせてくれるだろう。

Text by 五味渕雅之（朝霞店）