スウィートボックス

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スウィートボックス

3年ぶりにスウィートボックスが帰ってきた!
待望の2ndアルバムは「ロッキーのテーマ」「白鳥の湖」をバック・トラックにフィーチャーした、
ヒーリングmeetsダンス・ミュージックのニュー・スタンダード。

(初出『Groovin'』2001年2月25日号)

スウィートボックス-A.jpg 1stアルバムが大ヒットしたアーティストにとって、2ndアルバムというのは非常にプレッシャーが強いもの。"前作と同じもの、あるいはそれ以上のものを…"という、アーティスト・サイドとリスナー・サイド双方が作り上げるハードル。そのハードルを越えられずに、いわゆる"一発屋"で終ってしまうアーティストは思いのほか多い。それでもそのハードルを越えることが出来たアーティストは、オリジナリティあふれる"本物"として成功していく。
 ここにそんな本物達がいる。そう、スウィートボックス。記憶に新しい人も多いと思うが、彼らは今から3年前の1998年にバッハの「G線上のアリア」をフィーチャーしたシングル「エヴリシング・イズ・ゴナ・ビー・オールライト」で大ヒットを放った。この曲は、今年の1月から今世紀F1に導入するトヨタのモーター・スポーツのCMソングとしても使用されているので聴き覚えがあると思う。そして、同曲を収録したデビュー・アルバム『SWEETBOX』は国内で洋楽の新人アーティストとしては異例の、70万枚を超えるメガ・ヒットとなり、ゴールドディスク大賞では「ベスト・インターナショナル・アクト」「ベスト・ソング・オブ・ジ・イヤー」を受賞するなど、日本でも大人気だったのである。
 そして今回届けられた2ndアルバムでは、1stアルバム時のリード・ヴォーカルのティナにかわって新星ジェイドを起用。ヒップ・ホップ・テイストにしっくりくるハスキーがかったティナの声も良かったが、スウィートかつクリアで、どんな楽曲にでも対応出来る声質のジェイドの方が、スウィートボックスの方向性を考えた場合、彼らのサウンドによりはまっていたということなのだろう。
 前作でみせた「G線上のアリア」等、クラシック曲などをフィーチャーし、原曲のイメージを崩さずに使用するそのサウンド・スタイルは、今作でもしっかりと踏襲されている。アルバムからの1stシングルとなる「ロンリー」はエンニオ・モリコーネの隠れた名曲といわれるイタリア映画「レディ・カリフ」のテーマ曲をフィーチャー。この曲は「エヴリシング〜」にも勝るとも劣らない仕上がりのバラードになっていて「エヴリシング〜」でファンになった人達の期待を絶対裏切らない、かなりヒット・ポテンシャルの高いデキ。他にもなんと、チャイコフスキーの「白鳥の湖」、映画「ロッキー」のテーマ曲などをフィーチャーして作られているものもある。このように原曲のイメージが強力なものをモチーフにするというのはインパクトがあるものの、一つ間違えば"オモシロ・ソング"になってしまいがち。しかし、彼らのサウンドは原曲のインパクトは残しつつ、かつスウィートボックスらしさが前面に出たダンス・ミュージックとしか聴こえない。そして、それ以上に原曲の持つイメージをうまく生かしたヒーリング・ミュージックにさえしてしまう。この他にも、アジアン・テイストの楽曲や60人によるクワイアをバックにした楽曲など、さらにジャンルの幅を広げて作られている。
 そこには1stアルバムに対するプレッシャーなど少しも感じられない。前作以上のものを作ろうとする、ある種の職人魂があるだけだ。現在のヒーリング・ブームのきっかけともいわれるそのオリジナリティ溢れるサウンドは、「エヴリシング〜」からのファンはもちろん、癒し系、ダンス系と称される様々な人達に受け入れられる要素を持っていると言って良い。この作品は前作以上に多くの人達に愛されるアルバムとなるだろう。

Text by 常盤安信(秦野店)

『クラシファイド』
スウィートボックス-J.jpg




CD
BMGファンハウス
BVCP-21186
¥2,427(税抜)
発売中

「G線上のアリア」をフィーチャーしたシングル「エヴリシング・イズ・ゴナ・ビー・オールライト」から3年。1stシングルとしてエンニオ・モリコーネの曲をフィーチャーした「ロンリー」をひっさげシーンに帰ってきた彼らの2ndアルバム。前作以上のクオリティに仕上がっている。

【スウィートボックス sweetbox avex casa official website】http://avexnet.or.jp/sweetbox/index.html

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