NEWTON CIRCUS

ARTIST PICK UP

NEWTON CIRCUS

16ビートの快感、アナログ・インストゥルメントの温もり、
ジャズへのシンパシーが織り成すNEWTON CIRCUSのポップスは、
心地よいクール・ヴァイブ満載!

(初出『Groovin'』2001年3月25日号)

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 巷に溢れている、トラック・メイカーによる人工的なシークエンス・サウンドばかりを聴いていると、時々出会う黒人コーラス・グループや、ヒップ・ホップ系アーティストのライヴ演奏に、ハッとさせられるような事が多々ある。それはCDではほとんどが打ち込みなのに対し、ライヴではリズム隊が生のドラムスとベースで演奏されていて、熟練されたプレイヤーの繰り出すグルーヴが、素晴らしい緊張感を醸し出しているからなのだろう。
 そして今回デビューする、長沢公平のソロ・ユニット"NEWTON CIRCUS"は、まさにそんなグルーヴ感をディスク上に具現化することのできる、希有なアーティストだ。特にリード・トラックになっている「この世で…」は、アナログ・インストゥルメントをふんだんに用いたサウンドと、鮮烈なアッパー16ビートが絡み合って、強烈なテンションを生み出している。エレクトリック・ギターと、アコースティック・ギターのクールなツイン・カッティングで始まるこの曲は、冒頭から最後まで聴く者を捉えて離さない魅力に満ち溢れていて、彼の言う「歌詞やメロディだけではなく、サウンド、リズム、グルーヴからも情景や感情、空気を感じられるような音楽を作りたい」という気持ちが十二分に伝わる楽曲になっている。
 また全体から感じられる質感は、70年代のファンクやソウル・ミュージック、フュージョンとよばれる前のクロス・オーヴァーにも通じるような感じがあるし、他の曲では、ローズやアナログ・シンセなどが巧みに繰り広げられていて、彼がリスペクトしてやまないハービー・ハンコックや、ジャコ・パストリアスにも繋がるような世界観が表現されている。饒舌なデジタル楽器を極力使わず、寡黙で真摯なアナログ・インストゥルメントを用いて、卓越した表現者達によるサウンド・マジックをディスクに刻み込むNEWTON CIRCUSの音楽こそ、音を楽しむ原点なのかもしれない。

Text by 五味渕雅之(朝霞店)

『この世で…』
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Maxi Single
BMGファンハウス
BVCS-29043
¥1,200(税抜)
発売中

70年代のソウル、ジャズ、ファンク・ミュージックを、アナログなミキサーにかけて現在に甦らせたNEWTON CIRCUSの音楽は、プレイヤーたちが繰り広げる有機的なサウンドに、強烈なテンションとアメニティ・グルーヴを伴った極上のポップスだ。

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