ザ・コブラツイスターズ

ARTIST PICK UP

ザ・コブラツイスターズ

〜だけど出番さ 我に返って Oh ギターの神
我に力与え給え Oh リズムの鬼 我に力与え給え〜
飛躍の年ヘビ年に、ザ・コブラツイスターズ待望のセカンド・アルバムで牙をむく!

(初出『Groovin'』2001年3月25日号)

 さて、ザ・コブラツイスターズである。CobraのTwistarsなんだから(パンクは好きだけど和製パンクは嫌いな僕は)こいつはパンクに違いないと思い込み、今まで聴く事がなかったんですねぇ。恥ずかしながら。当然の事ながらこれは大いなる勘違いで、ザ・コブラツイスターズは非常に引き出しの多い才能あふれるバンドである。機会があればバンド名の由来なんかも聞いてみたいものだ。
 鹿児島県与論島出身の川畑アキラ(ヴォーカル・三線)がこのバンドの要であるようだ。与論島の音楽がどんなものなのかは知らないけれど、歌詞の中にも表現されているとおり、出身地をこよなく愛するであろう、彼の独自のカラーがこのバンドを特徴づけている。僕の思い込みかもしれないけれど、歌詞だけではなく、そのサウンドからも風景を思い浮かばせてくれるアーティストはそんなにいないはずだ。当然大きな要素ではあるが、単に三線を使った、って事じゃなくてね。また、与論島ではデビュー直前に、レコード会社などとは関係なく、地元の人が作ってくれたザ・コブラツイスターズの広告が新聞に折り込まれたそうだ。僕は半端に東京に近いベッドタウン埼玉で生を受け、(故郷を思わせる言葉なんて、せいぜい団子か狭山茶くらいである。)大都会でも田舎でもない中途半端な、他人が集まった団地だらけの土地で愛郷心もなく育ったので、こんなバックを持つ川畑に嫉妬を感じてしまう。
 そんな事を考えながら聴いていて気づいたのは…。そう!歌詞に1つも、そう1つも英語が無い!僕は歌詞が活字になってしまうと、音楽にのせて表現するのとイメージが違って聴こえるのが嫌いなので、歌詞カードというものをあまり見ないのだが、確認の為に目を通してみた。やっぱり無い。無理矢理あげるとすれば"ドンマイ"くらいなもんである。たとえハード・ロックな曲でも、必ず日本語なのである。ロックなんだから英語を使うなとは言わないけれど、意味不明の英語をやたらと振り回すアーティストが多い昨今、実に歌詞を大事にしてると思う。
 また、サウンド面で川畑独自の世界を更に広げ、ザ・コブラツイスターズのヴァラエティ豊かな楽曲を陰でささえているのがギターの相馬圭二なのではないかと思う。見た目も一番長髪でロッカー風のリーダー相馬は、ドライヴしつつもでしゃばらず、ヴォーカルを引き立てつつも自己主張する、実に良いフレージングを聴かせてくれる。僕が好きなギタリストは皆、歌を引き立てる術を知っている人なんだ。彼の作曲である「風が吹いたら」のスライド・ギターのフレーズなんて、ぜひぜひ生でも聴いてみたいし。「横たわる川」では短いけどセンスのいい泣きのソロが聴ける。完全にハード・ロックな「鋼鉄一代男」のイントロや間奏ソロはちょっハメはずしてみましたって感じが実に燃えるね。器用な人だ。
 個人的には、大ブレイクもいいけど、それより永くいい曲を作りつづけて欲しい。そんなバンドだ。そうそう、僕の個人の法則の中に"ジャケットがかっこいいアルバムは中の音もかっこいい"の次に、"優れたアルバムの5曲目には必ず名曲が入っている"というのがある。皆さんぜひご確認を。今作でもこの法則、当たってると思うよ。

Text by 富田 聡(久喜店)

『ザ・コブラツイスターズ Ⅱ』
ザ・コブラツイスターズ-J.jpg




CD
ビクターエンタテインメント
VICL-60693
¥2,900(税抜)
発売中

なんといっても同じバンドの曲とは思えないほどの引き出しの多いサウンドと、川畑アキラの歌詞世界が魅力的なコブツイのセカンド・アルバム。完全ハード・ロックからPOPS、それにコブツイならではの三線を使ったな〜んか和んじゃう曲まで名曲揃いの1枚。

【ザ・コブラツイスターズ 公式サイト】http://www.vap.co.jp/cobra/

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