エアロスミス

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エアロスミス

お待たせしました!
超強力盤エアロスミス『ジャスト・プッシュ・プレイ』完成。
ロックの新世紀はこのアルバムで幕を開ける。

(初出『Groovin'』2001年3月25日号)

エアロスミス-A.jpg 全世界が熱望していたアルバムがとうとうリリースされる。大御所エアロスミス、通算13枚目のニュー・アルバム『ジャスト・プッシュ・プレイ』がリリースされるのだ。このアルバム、1月に行われたスーパーボウルのハーフタイム・ショウで世界初披露された先行シングル曲「ジェイディッド」の全米での反応があまりに凄すぎて、緊急"前倒し"でのリリースとなった事もスゴく嬉しいが、なによりも嬉しい事は、これまでのエアロスミス同様に、ある種の"頼もしさ"を実感できた事である。
 エアロスミスのキャリアは本当に長い。バンド結成は1970年であるからもう30年以上のキャリアになる。ご存知のとおり、この間は決して平坦とは言えない道のりであった。しかし一貫して断言できるのは、昨今のベテラン・バンド再結成ブームに名を連ねるような"なつかしい"バンドの現役時代より、ずっとタフでリアルでもあったし、ハードロック・バンドとして最前線から外れたことだけはただの一度も無い事だ。そして87年『パーマネント・バケイション』での復活以降のエアロは完璧だ。アルバム発表毎に膨れ上がるファンを巻き込み、王者エアロスミスとして君臨し続け、98年の「ミス・ア・シング」ではバンド史上初の全米シングル・チャート第1位も獲得したのだ。
 今作の内容であるが、解釈は2通りあるだろう。サウンドとして"進化したエアロスミス"と、メロディーとしては"いつものエアロスミス"であるという解釈だ。アルバム全体としては、この両面の魅力が見事に表現できた、トータル的に素晴らしい仕上がりになっている。少し強引にこじつければ、曲のバランス・配置的に見て、これまでの作品の中ではメガ・ヒット路線で第2次黄金期を築いた、復活後における代表作『ゲット・ア・グリップ』と似ているかもしれない。ヴォーカルのスティーヴン・タイラーが「最新のテクノロジーも使い、かつて無い領域にアクセスしたよ。」というサウンドは確かに凝ったつくりで、前作『ナイン・ライヴズ』で導入され始めた打ちこみのリズム・パターンは、今回もかなり使われている。中近東風のメロディーからいきなり始まるM①、打ちこみビートから徐々にバンド・サウンドが絡み付くM②…と随所に見られる最新技術を駆使した音はそういった観点では"かつて無いエアロ"とも言える。しかし、やはり大切なのは曲(メロディー)の方だろう。全曲、まさに「エアロ節」。ファンキーでタイトな王道ハード・ロックとしか言いようがない。しかしそれだけじゃつまらないし…要するにバランスなのである。この微妙な感覚こそが"いつものエアロスミス"なのであり、私が冒頭で表現したところの、"頼もしく"感じる根拠でもある。
 それにしても今年はアメリカン・ロックが熱い。そして2001年を振りかえる頃、エアロスミスの今作の意味の大きさをさらに感じることになるだろう。

Text by 中澤雄二(静岡イトーヨーカドー店)

『ジャスト・プッシュ・プレイ』
エアロスミス-J.jpg




CD
Sony Records
SRCS-2440
¥2,400(税抜)
発売中

エアロスミス待望のニュー・アルバム!大ヒット・シングル「ジェイディッド」はもちろん、映画「アルマゲドン」の主題歌としてこちらも大ヒットしたバラード「ミス・ア・シング」を日本盤のみボーナス・トラックとして収録。

【ソニーミュージックによるオフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/Aerosmith/

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