福山雅治

SPECIAL SELECTION

福山雅治

多彩な活動で駆け抜けた2000年を終え、
さらなる"What's New !"を求めてスタートした福山雅治のオリジナル・ニュー・アルバム『f』。
ぜひ今作で、"現在(いま)の福山雅治"を感じてみてほしい。

(初出『Groovin'』2001年4月25日号)

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 最近特に、多面性のある人間は魅力的だなあと思う事が多い。単純につき合っていて飽きないということもあるのだろう。そして、これは特に恋愛において言えることであるが、相手の意外な一面を見てしまった時ほどドキドキすることはない。ビリー・ミリガン級の多重人格とか、人に言えない裏の仕事を持っているとか、そんな大袈裟なことじゃなくて「ああ、この人こんな表情もするんだ」的な事でもいい。「多面性」はきっと異性を惹きつける大きなポイントだと思う。そして、世の女性が福山雅治を絶対的に支持しているのは、意識せずともそんな多面性に魅せられているからなんだと思う。そう、彼はいろんな意味で表情豊かな人だ。
 デビュー10周年となった2000年を、ダブル・ミリオン・シングル「桜坂」のリリースを皮切りに、全国アリーナ・ツアー、彼にとって初となる故郷・長崎での屋外ライヴ、そしてシドニー・オリンピックでのカメラマンとしての活動、さらにはコンポーザー服部隆之とのコラボレートとなる本格的クラシック・アルバム『MAGNUM CLASSICS』のリリースと、記念すべき年にふさわしい多彩な活動で駆け抜けた福山雅治。そして2001年、減速することなく、さらなる"What's New!"を求めて生み出されたのが『f』と名付けられた今作だ。
 このアルバムでは、現在の福山雅治の"音楽における多面性"が存分に披露されている。全く違ったタイプのシングル「桜坂」「HEY!」「GANG★」が1枚のアルバムに収録されているというだけでも推して知るべしなのだが、実にヴァラエティに富んだ12曲が並ぶ。まさに福山雅治12変化である。セルフ・カヴァー曲「Venus」(オリジナルは『Rendezvous 1』に収録)は今すぐ海に行きたくなるような、リゾート感漂うポップ・チューン。タイトルそのままの「Blues」はアルバムならではの彼の意外な一面が覗ける1曲。ちょっと気だるいヴォーカルと臨場感あるフェイクは聴きものだ。また彼のルーツなのかも?と思わせるフォーキーなナンバーも数曲収められている。なかでも「桜坂」の初回盤のみに収録されていたカヴァー曲「春夏秋冬」(オリジナルは、福山とも交流のある泉谷しげる)は、彼のこの曲に対する思い入れの大きさが伝わってくるような重厚感ある仕上がり。また、歌詞のテーマも恋愛だけでなく、友情だったり、少年時代の思い出だったりと、実に多岐に渡っている。このあたりは、俳優やカメラマンといった活動の中で得た経験が大きく影響しているのだろう。時に優しく、時に激しく、またある時はセクシーに…どの福山も魅力的だが、個人的にはCOOLでギラギラしていて、危険な匂いプンプンの「GANG★」に心酔しきっていることを、ここに白状しておく。
 彼の音楽的振り幅の大きさを見せつけた今作。タイトルの『f』には福山の"f"であったり、futureの"f"であったりと、アルバムに込められたキーワードも暗示されているようだが、まずは今作で、現在の福山雅治を感じて("feel")みては?

Text by 鮎川夕子(編集部)

『f』
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CD
ユニバーサル ミュージック
UUCH-1013
¥2,913(税抜)
発売中

ヒット・シングル「桜坂」「HEY!」「家路」、最新シングル「GANG★」を収録したニュー・アルバム。ジャケット写真はなんと、巨匠・アラーキーが撮影。そうくれば30cmアナログ・ジャケット仕様の初回盤は必ず手に入れたい一品。なお通常盤も同時発売。

【福山雅治 公式サイト】http://www.fukuyamamasaharu.com/

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