TOMATO CUBE

とても前向きな女の子"西村ちさと"の、
どこかノスタルジックな歌声にのった淡い感情が心地よい3rdマキシ・シングル『私がいるよ』。
それはまるで甘酸っぱいジェラートのようだ。

（初出『Groovin'』2001年4月25日号）

「泣きそうな笑顔」、もし自分のとっても愛しい人がそんな表情をみせたら、あなたならどうするだろう？
　雨が降りだした街の中で、2人立ち止まる赤信号の交差点。ふと不安になってしまう。今、私のとなりにいる人は、何を考えているんだろう…。心の奥の奥まで知ることなんて出来ないけれど、やっぱり愛しい人の悲しい顔はみたくはないから、なんとか元気をだしてくれないかなと、そのことばかり考えてしまう。「そうだ、明日晴れたら海にいこう！」青い空と、キラキラ輝く海を見たらきっと、また元気になれるから!!
　とても前向きな、それでいて、ひたむきに愛情を投げかけ続けている女の子像は、このTOMATO CUBEのヴォーカル西村ちさととも、どこか重なり合う。元気のいい歌声の中には、ノスタルジックな淡い感情が流れていて、それがこの曲の全体像に大きく色を落としている。そして聴き終わった時、さっぱりとした後味だけがいつまでも残っていた。まるでジェラートのようだ。
　夏の強い日差しを受けながらドライヴした後、青い海を見ながら日陰で食べるジェラート。シャリッとした食感のジェラートが口の中でスッーと溶けてゆく。甘いけれど、決して後を引かない。昨日の悩みや、小さな後悔だってきっと2人で半分ずつにしたら、また元気になれるから!!そんな会話が聞こえてきそうだ。なんだか夏が来るのが楽しみになってしまった。
　今作をリリース後、5/23には初のフル・アルバムも発売予定だ。ますます楽しみは続いてゆく。21世紀に入ってはじめての夏は、初夏から少しずつヒート・アップして、テンポのいいこのナンバーで、元気一杯とばしてゆこう!!

Text by 森田みき（玉川高島屋店）