第15回
野辺 拓(すみや上永谷店)
(初出『Groovin'』2001年4月25日号)
まずは僕が洋楽、そしてハード・ロック/ヘヴィ・メタル(以下HR/HM)という音楽にハマッた経緯についてお話しよう。時はMTVトップ40番組華やかなりし80年代。当時某レコード会社に勤めていた叔父からサンプル盤(当時はまだアナログ盤)を大量にもらい、クラプトンやシカゴ、マドンナ等は兄の元へ、その"おこぼれ"として、ヴァン・ヘイレンやラット、ドッケンといったHR/HM系が僕にまわってきたのだった。また、兄の影響から、音楽雑誌やFM等のチャート番組を欠かさず、エア・チェックやレコードをレンタルして、とにかく売れているものを片っ端から聴いている"チャート小僧"でもあった。当時はまだHR/HM勢もチャートの上位を賑わし、エアロスミス、ホワイト・スネイク、ヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、モトリー・クルー等が僕の心を捉えたのだった。
そんな"チャート常連組"のひとつがデフ・レパードだった。彼らはすでに前作『炎のターゲット』で全米でも大ブレイクを果たしていたが、当時の僕にはそんな予備知識は全くなく、ただ純粋にこの『ヒステリア』というアルバムのクオリティの高さに感動したのを覚えている。それはM-④が全米NO.1に、③⑤⑥⑩がトップ10に入り、全世界で1500万枚以上という驚異的なセールス記録した事からもおわかり頂けるだろう。
別に僕はセールス至上主義者ではないし、もちろん他にも好きなバンド、良い楽曲、歴史を変えるようなアルバムは数多く存在するが、リアルタイムで出会い、感動し、僕の歴史を変えたという意味で、このアルバムがとても大きな存在である事は間違いない。音楽への接し方は人それぞれ。どういう形でも構わないと思う。ただ、先入観や"聴かず嫌い"で良い音楽や良いバンド、アーティストと出会うチャンスを逃さないで欲しいし、その出会いのチャンスをたくさん作るのが僕らの仕事なのだ。最後に「素直な耳と心での御来店、お待ちしてます。」
*なお次回は相繁健一郎氏(すみや向ヶ丘ダイエー店 店長)が登場します。お楽しみに。。
デフ・レパード
『ヒステリア』
CD
ユニバーサル ミュージック
PHCW-2002
¥2,137(税抜)
発売中
半数以上の曲がシングル・カットされ軒並みヒットし、4作目にして初の全米NO.1に輝いた、まさに捨て曲なしの名盤。「メロディアスでキャッチー、ほどよいドライヴ感のあるアルバムない?」と聞かれたら、真っ先にこれをオススメします。