LOVE PSYCHEDELICO

ARTIST PICK UP

LOVE PSYCHEDELICO

サウンドと歌の絶妙なバランス、そしてグルーヴ。
ロック・テイストの中に繊細さと大胆さを併せ持つ
待望のシングル、遂に登場!

(初出『Groovin'』2001年5月25日号)

LOVE PSYCHEDELICO-A.jpg つい最近、あるアーティストとたまたま60年代ブラック・ミュージックの話になった。モータウン・サウンド好きで知られるそのミュージシャンは、ふとこんな事を僕に言った。「当時の楽曲って、ダイアナ・ロス&シュープリームスにしてもテンプテーションズにしても素晴らしくって、しかも圧倒的な存在感と歌唱力を備えているんだけど、でも僕がモータウン・サウンドを大好きだっていうところから一歩退いて、純粋にサウンド、特に楽器の構成やアレンジだけを聴いてみると、結構スカスカで驚かされる曲もあるんですよね。だから今僕らがその当時のそういった曲をカヴァーとかで再現するとしたら、もっといいものを作れる自信があるんだけど…。」
 楽曲の善し悪しって、一体何を基準に判断されるべきなのだろう。これはもしかしたら僕らのような音楽に携わる者にとっては、永遠の命題なのかもしれない。そして僕がいつもこんなことを考えているときに決まって頭をよぎるのが、このLOVE PSYCHEDELICOの存在だ。
 LOVE PSYCHEDELICOと言えば今年1月に発表したアルバム『THE GREATEST HITS』で、その圧倒的なグルーヴ感溢れる独特のサウンドと、英語と日本語を分け隔てなくしかも無理なく取り込んだヴォーカルで大きな話題をさらったのも、記憶に強烈な印象として残っているグループ。その後待望の全国ツアーやアメリカ/テキサス州で毎年行われている音楽イベントSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)への出演など、積極的なライヴ活動を続けてきた。特にアメリカでのライヴは、彼らのメンタル面へも大きなものを与えたことと思われるが、そういった期間を経てついにニュー・シングルが届けられた。
 本作『Free World』は全3曲入り。今までのLOVE PSYCHEDELICOのサウンドとその路線を継承しながらも、よりワイルドさを増した意欲作だ。アメリカン・ロックへの憧憬から一歩踏み出し、今度は自分たちのものとして実践している姿が逞しく映る。また相変わらず、その飛び抜けたサウンドに対するセンスと、ヴォーカルのKUMIの言語感覚、とりわけ従来から実践してきた日本語と英語を分け隔てなく同格で扱い、自分のものとして表現する姿勢は目をひくものがある。そしてそこには余裕と自信すら感じ取れる、素晴らしい出来だ。
 よく音楽誌を読んでいると「サウンドと詞がうまくマッチした会心作…」というような表現を目にすることがある。しかしこれは、LOVE PSYCHEDELICOを語るときにはナンセンスな表現かもしれない。なぜなら彼らのサウンドは、もはや詞や演奏といったそんな垣根を越え、それらが一体となったところに存在しているからだ。そしてそこから独自のグルーヴが生まれる。ある意味J-POPSの既成概念をうち破ったところに存在するLOVE PSYCHEDELICOの未来に、これから僕らはますます目を輝かせて期待することになるだろう。本作を聴いて、僕はそう確信した。

Text by 土橋一夫(編集部)

『Free World』
LOVE PSYCHEDELICO-J.jpg




Maxi Single
ビクターエンタテインメント
VICL-35260
¥1,200(税抜)
発売中

LOVE PSYCHEDELICOの待望の新作マキシは、よりアメリカン・ロック・テイストを増し、そこに彼ら独特の圧倒的なグルーヴ感溢れるサウンドと、英語と日本語を無理なく取り込んだヴォーカルが絡む会心作。なお「Free World」はポカリスエットCMでもおなじみ。

【LOVE PSYCHEDELICO OFFICIAL SITE】http://www.lovepsychedelico.net/index.html

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