EGO-WRAPPIN'

ARTIST PICK UP

EGO-WRAPPIN'

情熱的でノスタルジックなメロディが、なぜか懐かしくも新鮮に響く。
昨年「色彩のブルース」で話題を呼んだ
EGO-WRAPPIN'のニュー・アルバム、5/30リリース!

(初出『Groovin'』2001年5月25日号)

 昨年の夏も終わりに近づく頃、FMから流れてくる1曲に耳が釘付けになる。懐かしい昭和初期のスウィング・ジャズとブルース歌謡を足したような、それでいて斬新なサウンド、青江三奈を彷佛させる艶のある歌声。まもなくFM局に問い合わせが殺到した。
 EGO(エゴ)WRAPPIN'(ラッピング=包む)、「エゴを包みこむ」という造語のユニット名の関西出身の2人組。この「色彩のブルース」のヒットによって、地元のみならず、関東地区でもしだいに名が知れ渡っていった。しかも、そのノスタルジックな曲調のせいか、CDの購買層は若者だけでなく、年輩の方も多く見られ、幅広い支持を得ている。インディーズでありながら、各CDショップでは軒並みメジャーなみに店頭に打ち出し、発売から半年以上たった今でも、オリコンのインディーズ・チャートのTOP5以内をキープしているという。
 EGO-WRAPPIN'の結成は96年。中納[ルビ:なかの]良恵(Vo、作詞、作曲)と森雅樹(G、作曲)の2人からなるユニット。(ちなみに中納良恵は自身のソロ・ユニット「JuJu KNEIPP」としてもミニ・アルバムをリリース、先ほど話題となったFantastic Plastic Machineのアルバム『beautiful』に収録の「Beautiful Days」にもフィーチャーされている。)結成以来、関西を中心に活動を続け、地元のクラブ・シーンやFM局でも早くから注目されていた。これまでにインディーズでフル・アルバム1枚とミニ・アルバム3枚を発売。リリースされるごとに注目度が高まり、今や音楽界の第一線で活躍中のアーティスト達からも絶賛されるほどである。
 そして、今回ついに期待のニュー・アルバム『満ち汐のロマンス』が5/30にリリースされることになった。なお、今作は収録されている9曲全てが新録となる。アコースティックな音と心地よいホーン・アレンジ、懐古的なメロディが新鮮に感じられる。それは彼らがサウンドのテーマとして掲げる"Minor Swing"をベースに、あらゆるジャンルを消化して彼らなりに創り出された"現在の音"であり、いまのJ-POP界においても他に類を見ない、彼らの独自性を醸し出している。もはや"クラブ・サウンド"の枠を超えた音楽と言っていいだろう。また、このアルバムの作詞は全曲、ヴォーカルの中納良恵によるものだが、彼女の描き出す世界はオリジナリティに溢れるリリックで綴られている。浮遊感、時に体温を感じ、狂気と戯れ、とても刹那的である。彼らの放つ音と同時に、彩るコトバによってさらに独創性が高められているのだ。そしてここに、中納良恵の切なく妖艶な歌声を乗せると、聴く者の感情を一気に頂点へと導く。魂が震えるほどの情熱に呼応するように、心が揺さぶられてゆく。その歌声は、激情と言うには哀しげで、退廃的なエロチシズムさえ感じられる。そう、そして心を揺さぶられるがまま、快楽と共に彼らの音楽の世界に堕ちてみるのも悪くないだろう。

Text by 谷口郁子(玉川高島屋店)

『満ち汐のロマンス』
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CD
ポリドール
UPCM-1001
¥2,800(税抜)
5月30日発売

昨年「色彩のブルース」でブレイクしたユニットEGO-WRAPPIN'が、ついにニュー・アルバムをリリース!新しくて懐かしいメロディ、ブルージーでジャズ・フレイヴァーの効いた音は、世代を超えて愛聴できる1枚。これはもうクラブ・サウンドの枠を超えている!

【EGO-WRAPPIN' 公式サイト】http://www.egowrappin.com/

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