BoA

卓越した歌唱力とダンス力。
そして3か国語を自由に操るN-TYPEアーティスト。
Beat Of the Angel＝「BoA」、遂に日本上陸！

（初出『Groovin'』2001年5月25日号）

　いまや世界中がネットワーク化され、どこにいても欲しい情報が思うがままに手に入るようになった。特にここ数年の変化は目覚ましく、必要な情報を得るためにひたすら労力と時間を費やしていたあの時代が懐かしくも思える。遠い国の言葉だって音楽だって、難なく手に入る21世紀。まさに世界に手が届く、そんな環境の中で育ったアーティストがデビューする。それがここに紹介する現在14歳の少女、Beat Of the Angel＝「BoA」だ。
　彼女のデビュー・マキシ・シングルとなる「ID；Peace B」。この歳にして3カ国語を操るというプロフィールには驚かされたが、やはり特筆すべきはそのパフォーマンスだろう。兄から教わったというダンスと、ホイットニー・ヒューストンをはじめとするR&Bシンガーに影響され培われていった歌唱力はずば抜けている。今作のプロモーション・ビデオで見せる凛々しさは、あのジャネット・ジャクソンを彷彿とさせるほどだ。また、今作のトラックのグルーヴ感は緻密に計算された最新型。R&Bのテイストをごく自然に身につけてしまった世代の彼女は、そのグルーヴにも難なく順応し、しかもフェイクによって楽曲に彼女独自のグルーヴまで注入しているのだ。歌声の中に時折14歳らしい瑞々しさみたいなものが見られるが、ソウルフルで堂々としたヴォーカルには余裕さえ感じられ、すでに大物アーティストの風格を醸し出している。
　だが、素顔のBoAは出演しているCMのとおり、人なつっこい笑顔が愛らしい14歳の少女。そして「（私には）時間がたくさんあるし、やってみたいスタイルもたくさんある」という発言や、単身で日本に滞在し、言葉の勉強をしたというエピソードからわかるとおり、かなりのチャレンジ精神を持った努力家でもある。この貪欲さと世界中のセンスをボーダレスに取り入れる柔軟性を持った彼女こそ、遂にやってきたN-TYPE SOUND（新世代音楽）の先駆者であり、代表となるに違いない。

Text by 鮎川夕子（編集部）