SING LIKE TALKING

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SING LIKE TALKING

2年のソロ活動期間を経て、再始動したSING LIKE TALKINGからの素敵な贈り物。
話題沸騰中のカーペンターズのカヴァー「Close To You」、
新曲「Time is over」を収録したバラード・セレクション・アルバム。

(初出『Groovin'』2001年5月25日号)

SING LIKE TALKING-A.jpg 98年、デビュー10周年を記念したベスト・アルバム『SECOND REUNION』をリリース後、各々のソロ活動を中心としてきたSING LIKE TALKING。そして、昨年11月に2年振りとなるシングル「One Day」をリリースし、再始動。この曲では2年間のソロ活動によるそれそれの"おみやげ"ともいうべき音楽的な広がりが、いい感じにフィード・バックされている印象を受けた。カップリング曲では西村智彦、藤田千章による初の歌モノの曲がそれぞれ収録されていることだけでも、彼らのソロ活動がいかに実のあるものだったかということが窺える。
 そして、2001年。本格的に活動を再開する彼ら。その初レコーディングとなったのが「Close To You」。この楽曲はご存知の通りカーペンターズのカヴァーであり、現在TBSテレビ"ブロードキャスター"のエンディング・テーマとしてオンエアされているもの。なんでもこの曲に対する反響が番組に数多く寄せられたそうだ。斬新なアレンジと、佐藤竹善のクリアでいてやさしさに溢れる温かなヴォーカルによるこのスタンダード・ナンバーは、一度聴いたら虜になるのも肯ける。そして何よりもこのアレンジの全権を握っていたのが西村だというのが意外であり、驚きである。そう、この"驚き"こそが再始動したSLTのポイントになっているのではないだろうか。
 さて、この「Close To You」を収録したアルバムがこの『ROUND ABOUT』。本作は"Blue Side"と"Forest Side"と名付けられた2枚組のバラード・セレクション・アルバム。新収録曲としてカヴァー曲を4曲と、ピアノとストリングスによるバラードの新曲「Time is over」が入っているのが何よりも嬉しい。カヴァー曲は「Close To You」の他、ホール&オーツの「Everytime You Go Away」(Live)、シンディー・ローパーの「Time After Time」、ピアノとストリングスによる原曲をアコースティック・ギターでカヴァーした玉置浩二の「ロマン」の4曲。これらの曲がカヴァーとは思えないほどSLTらしさを漂わせ、それぞれのディスクの1曲目とラストを飾っている。
 そして、過去9枚のアルバムから彼らの手によってセレクトされた楽曲のほとんどはアルバム曲だが、どれも名曲と呼ぶに相応しいものばかり。国内外のトップ・レベルのミュージシャンたちと作り出すそのサウンドは、シングル曲もアルバム曲も違いはない。それは、常にクオリティの高いものを作ろうとする拘りが彼らのサウンドに表われているからだろう。
 彼らのルーツにはAORやブラコン、ソウル、ファンクなどがあり、オリジナル・アルバムではそれぞれのテイストの曲が混ざり合って1枚のアルバムを構成している。今回収録されている楽曲は、その中でもAORテイストの強いものが選ばれている。それゆえ、僕は敢えてこのアルバムを"極上のAORアルバム"と呼びたい。
 最後に、彼らは今、10枚目のアルバムに向けてのレコーディング中だという。竹善さんがベースを弾くらしいとか、元LUNA SEAのドラマー、真矢が参加するらしいとか"驚く"ような話を聞く。その真偽は定かではないが、今からとても楽しみなのは事実。まずは今回届けられたこの素敵なアルバムを聴いて、心地よい満足感とリラックスした空気に包み込まれることにしよう。

Text by 常盤安信(秦野店)

『ROUND ABOUT』
SING LIKE TALKING-J.jpg




CD(2枚組)
BMGファンハウス
FHCF-2507〜8
¥3,400(税抜)
6月6日発売

カーペンターズ、ホール&オーツなどのカヴァー4曲と新曲「Time is over」を含む本作は、「My Eye’s On You」や「心の扉」などのアルバム曲を中心とした2枚組全22曲のバラード・セレクション・アルバム。"極上のAORアルバム"とも言うべき今作は、まさに必聴盤!

【SING LIKE TALKING 公式サイト】http://singliketalking.jp/

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