岡北有由

ARTIST PICK UP

岡北有由

路上ライヴから羽ばたいた女性シンガー、岡北有由の1stアルバムが完成。
詞に惚れるもよし、歌声・サウンドに惚れるもよしの、
とにかく美しい1枚です。

(初出『Groovin'』2001年6月25日号)

 初めて岡北有由を知ったのは、メジャー・デビュー・シングル「咲イテ」の時で、曲調というよりは詞の奥深さに感動したことを憶えている。一見すると暗くて後ろ向きな出だしではあったが、彼女の表現力なのか、言葉のパワーなのか、その行間がすごく浮かんできたことを憶えている。
 最近の詞の傾向として、とにかくストレートに表現しすぎている感じがある。それで若者の共感を得ているのだろうが、岡北の詞は、ただ書かれていることが伝えたいことではなく、何か聴き手に問いかけているというか、「考えてみて」と訴えているように思えるのである。そして、その答えのヒントというか、自分が何を伝えたいのかをサウンドと歌声で表現しているのが彼女のすごいところなのであろう。
 さて、そんな彼女の1stアルバムは、その1枚すべてといっても過言でないほど素晴らしい出来で、ハードな面はカッコイイし、アコースティック・ギターが醸し出すソフトでポップな切り口は、もはや美しいとしか表現のしようがない。そのような曲の感じや、前述した詞と音と表現力をお近くのすみやで試聴し、体験する機会があったならば、ぜひ1度じっくりと味わってみて欲しい。そして、ひとつお願いを言わせてもらえば、歌い方やサウンドに変な先入観を持って、例えば「また誰かの2番煎じなんじゃないの?」や「所詮は邦楽アーティストでしょ?」なんて気持ちで聴いてしまわないでほしい。まっさらな気持ちで向き合わないと、彼女の魅力も霞んでしまうかもしれないので…。
 こんなにまで熱く語ってしまうような不思議な力を持った岡北有由のアルバム『ベイスメント・ダイアリー』は6月に発売される中でも1番の注目作品と言い切ってもいいので、自分のこの拙い文章を読んで興味を持ってくれた方はぜひ聴いてみて欲しいと思う。

Text by 伏見朋記(浜松高台店)

『ベイスメント・ダイアリー』
北岡有由-J.jpg




CD
キティMME
UMCK-1028
¥2,913(税抜)
発売中

シングル「咲イテ」で衝撃のデビューを飾った岡北有由の、待ちに待ったアルバムがやっと出来上がりました。詞の素晴らしさはもちろん、ハードなギター・サウンド、さらに路上ライヴで培ったと思われるアコースティックな面も最高の1枚です。

【okakita ayu officialwebsite】http://www.okakitaayu.com/ayu/

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