ARTIST PICK UP
Yae
ベテラン主導のワールド・ヒーリング・ミュージック・シーンに
自然体の実力派新人登場。
草原を流れゆく風のような伸びやかな声の持ち主…Yae。
(初出『Groovin'』2001年6月25日号)
欧米文化圏のPOPシーンのなかで、ワールド・ミュージックの要素を取り入れて成功したアーティストは数多くいるが、その評価は賛否両論に分かれる事が多い。ワ—ルド・ミュージックの斬新な部分をそのまま拝借して自らのフォーマットにはめ込んで利用している、いわゆる搾取的だと批判を受けるものも少なくないし、逆にその音楽が生まれた場所の文化を吸収し、自分がその色に染まっていって素晴らしい作品を生み出すアーティストもいる。
ここで紹介するYaeは6月20日に発売された今作がファースト・アルバムであり、長年の経験を活かすというような年齢ではないが(1975年生まれ)、今まで経験してきた世界各地の音楽のエッセンスをごく自然に自分の中に取り込んで、心に響く曲を作り、歌うことのできるアーティストである。そこには欧米のPOP、ROCK、ワールド・ミュージックといった音楽ジャンルの垣根すらなく、自分が心動かされたメロディー、言葉、景色、感情を純粋に作品にしていった"音楽への誠実さ"があり、百戦錬磨のベテランが忘れかけている大事なものがふんだんに含まれている。
彼女が歌い始めたのは1995年、加藤剛主演の音楽劇「コルチャック先生」の歌手役でのこと。演劇界で高い評価をえて本格的に作詞・作曲をはじめ、自主企画で様々なライヴ、クラブ・イベントを行う。2000年には日本酒メ—カー「大関」のTV-CFに出演し、田村正和と共演するだけでなく、かつて母、加藤登紀子が歌っていた有名なCFソングを歌い継いでいる。
そんな彼女のファースト・アルバムは地球上のあらゆる場所で聴いても、その場所と自然に溶け込んでしまうようボーダーレスな作品。あえて今流行の"ヒーリング"でひと括りにしてしまいたくはないが、毎日の忙しい生活にやや疲れぎみの人たちの心を結果的に癒してしまうことは確実だろう。
Text by 作山和教(市原東五所店)
『new Aeon』
CD
ポニーキャニオン
PCCA-1538
¥2,913(税抜)
発売中
あの加藤登紀子を母に持ち、ピュアな心でピュア・ミュージックを奏でるYae。全10曲の内9曲を自ら作詞・作曲し、その伸びやかな美声で彩る。まるで世界各地を空から眺めて回るような爽快感、清涼感あふれる1枚。
【Yae Official Website】http://www.yaenet.com/index.html