Mr.Children

SPECIAL SELECTION

Mr.Children

ずっと待っていたのは、彼らのベストだった!9年間の軌跡をつめこんだ、まさに
"Mr.Childrenのすべて"ともいうべきベスト・アルバム、『1992-1995』『1996-2000』の
2枚同時発売。今年の夏の暑さは、これで乗り切れるはずです。

(初出『Groovin'』2001年7月25日号)

Mr.Children-A.jpg "あれからもう9年が経ってしまった"
 今や押しも押されぬ超メジャー・バンドとなってしまった"ミスチル"ことMr.Childrenは、1992年5月10日1stアルバム『EVERYTHING』 でメジャー・デビューした。その直後には全国10ヵ所で「EVERYTHING TOUR '92」を行い、その勢いのまま8月には1stシングル「君がいた夏」をリリース、これが関西の某FM局のヘヴィー・ローテーションとなった。ちょうどその頃、好きだったバンドの解散で音楽というものと距離をおきかけていた私の耳にもこの曲は自然に流れ込んできた。キリンくらい首を長くしてずっと待っていた君と過ごした海。楽しかったはずの夏の海辺でひとり振り返る日々はまるで夢のように…。曲の中に入り込んでしまったように浮かび出す風景があまりに鮮明で、でももう君はいない。私と同じような衝撃を受けた人たちがたくさんいたはずだ。そしてそのメロディーと言葉と独特の世界の中に、居心地のいい場所を見つけてしまったのだ。
 そしてあれから9年が経ってしまった。短い人生の中で、本当に好きになれる人にはいったいどれくらい会えるだろう。今もし幸せだとしても、ちょっと切なかったあの頃を懐かしく思ってしまうこともあるかもしれない。たとえそれが苦い思い出だとしても、振り返ってしまう一瞬が誰にでもあるのではないだろうか。いや、きっとあるはずだ。誰かを思うことはうれしいことでもあるが、それと交互に訪れる痛みやとまどいも否定できない。まるで恋愛をしている時のような様々な気持ちの移り変わりを、彼らの音楽を聴いて味わうことができたのだ。それはただ楽しいだけの日々よりも、ずっとずっと私の心に残った。
 4thシングル「CROSS ROAD」がドラマの主題歌になり、ミリオン・セラーを記録。その後の彼らの成長ぶりはもはや説明するまでもないだろう。ファンとしては、うれしい反面、ますます遠く感じる淋しさに襲われてしまったが、彼らはそんな気持ちもわかっていてくれたのだろう。彼らの音楽はずっと彼らの音楽のままだった。最初に出会った頃の"永遠の子供たち"は、ずっと変わらずその場所にいてくれたのだ。それに気付かず遠くの方を見渡して、途方に暮れていたのは私の方だったのかもしれない。だから、ミスチルのベストが発売されるという事を知った時、私は正直複雑な心境だった。そこにはそのままの彼らが確かにいるとわかっていながら、会いに行くことにためらいさえおぼえた。でも、彼らも彼らなりに、自分たちをとりまく状況のめまぐるしい変化にとまどいや憤りを感じたこともあったに違いない。だからこそ、今や不動の地位を確立し得ているのだろう。人が大きく成長するためには、さまざまな困難を乗り越えることが必至なのだ。
 彼らをずっとずっと好きだった人にも、ちょっと気になっている人にも、いろんな人に今回のベストを聴いてほしい。個人的な事ばかり書いてしまったけれど、私にいろんな思いを届けてくれた"永遠の子供たち"は、これから先も、私にとってとてつもなく大きな存在であり続け、時にちょっと切ない思いにひたらせてくれることだろう。長く短い人生の中で、そうそう好きな人なんてできないからこそ、その思いを大切にしていきたいと思う。

Text by 二宮万里(編集部)

『Mr.Children 1992-1995』
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CD
トイズファクトリー
TFCC-88180
¥2,667(税抜)
発売中

デビュー曲「君がいた夏」から「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」までのシングル9曲と、『EVERYTHING』から『Atomic Heart』までのアルバムの中から選ばれた6曲の計15曲構成。めざましい成長の記録とその大いなる存在感を充分に味わうことができる。

『Mr.Children 1996-2000』
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CD
トイズファクトリー
TFCC-88181
¥2,667(税抜)
発売中

バンドの頂点に立ち、その勢いを保ちつつもさらなる変化を遂げていった"1996年-2000年"。持つべき以上の可能性を見せたこの5年間からは、「名もなき詩」から「NOT FOUND」までのシングル8曲と、『深海』から『Q』までのアルバムの中より、5曲が選ばれた。

【Mr.Children 公式サイト】http://www.mrchildren.jp/

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