Querer

今作でも安定した歌唱力と存在感を見せつけた。
すべてのものを穏やかに静める落ち着いた響きも魅力的。

BRAND NEW ARTIST
Querer

 世の中に「歌が上手い」人はたくさんいると思う。上手い下手は別にして、「歌が好き」な人はそれ以上いる。当たり前の話だが、仕事として歌うならば上手くて当然だ。でも、それだけではありきたりなこのご時世、本当に歌う事を心から愛し、自分にしかない「力」とでも言うべきその「魂」を歌に込め、さらにその歌声が届いた先でどんな現象を起こすかまでも無意識に感じ取っているかのような響きを放つ…。言葉で表すとこんな感じだろうか。とにかく、Quererの歌声が届いて来た時に背筋がぞくっとしたのは事実だ。そしてそこには安心して聴いていられる安定した歌唱力が存在している。彼女の人間性がそこにちゃんと表れているのだろう。
 今作のテーマは「好きだからこその別れ」だろうか。そこに彼女はどんな意味を見出そうとして歌っているのだろうか。愛情をその場所に残したまま離れてしまう場合、そこに何が必要か。それは「相手を思いやる心」なのだと思った。この曲を聴いてそう思った。なぜなら彼女の歌声はすべてを包むように響いているから。目の前の愛する人、今ある愛すべき瞬間(とき)、そして2人のこれからまでも愛そうとする優しさと強さが、彼女の歌声からあふれ出ているのだ。そんな強さと優しさ、そしてすべてを包む心の響きを、耳で聴いて、感じ取ってもらいたい。

Text by 二宮万里(編集部)
(初出『Groovin'』2001年7月25日号)

『precious days』
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Maxi Single
ビクターエンタテインメント
VICL-35278
¥1,100(税抜)
8月1日発売

3作目となるニュー・シングルは、夏の涼しげな夕暮れの映像の、ある1コマを見ているような、クールかつ柔らかな響きが印象的。8月から日本テレビ系「FUN」でもオン・エア。秋に発売されるファースト・アルバムも今からとっても楽しみ。


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