浜田省吾

SPECIAL SELECTION

浜田省吾

前作から5年ぶりとなる待望のオリジナル・アルバム
『SAVE OUR SHIP』がリリースされた。
5年の歳月を経て、彼が何を考え、何を感じてきたのか…その答えが、ここにある。

(初出『Groovin'』2001年8月25日号)

浜田省吾-A.jpg 5年ぶり、と言われても実際はそんなに月日が経っていないような気もする。久々に旧友と再会し、それまでの空白の時間が一気に埋められていく感覚に近いかもしれない。5年間と言っても、その間に相次ぐシングルのリリースや、ベスト・アルバム等のリリース、全国ツアーなどで彼を目にする機会が度々あったからかもしれない。確かに、昔の彼のアルバム・リリースのサイクルから考えると、待ちくたびれてしまう月日だろう。目まぐるしく移り変わる昨今の音楽業界の中で、5年という年月は下手をすれば忘れ去られてしまう恐れさえある。でも、敢えて彼が自分のペースでやることを選んだとしても、私達はそれを見守り、信じて待つことができる。なぜならば、彼が"浜田省吾"だから。彼がこれまで築き上げてきたものは、月日によって色褪せることなど決してなく、今なお私達の心に響いてくるからだ。追い立てられるようにレコーディングとツアーをくり返し、全力で突っ走ってきたこれまでとは違い、今やっと、自分の納得できるスタンスで活動できているのではないだろうか。
 今までも彼はストレートなラヴ・ソングだけでなく、自分の曲の中に人生や愛、孤独、時には社会的な問題などを彼なりに折り込み、自分に、あるいは社会に問いかけてきた。今回のアルバムの楽曲にしてもその部分は変わらず、これこそファンが心待ちにしていた彼独特の"浜省ワールド"が繰り広げられている。音的には「OCEAN BEATY」を彷佛とさせるような憂いを含んだ美しいストリングスで始まる曲や、軽快なロック、切ないラヴ・バラードに加え、今回はサウンド的にも新しい試みがいくつか見受けられる。特に、苛立ちや衝動を上手くラップに乗せて歌った曲などは、往年の浜省ファンだけでなく、若い世代にも馴染みやすい、現在っぽい音に仕上がっている。また、先行シングルの「君の名を呼ぶ」は、彼自身もオススメの久々のラヴ・バラード。浜省のバラードには定評があるのはご存じの通りだが、これもサビの部分が頭をぐるぐる駆け巡りそうな、胸に迫る切ないバラードだ。全12曲の中にシングル曲5曲が含まれているせいか、全体的に聴きやすいアルバムとなっている。
 そして、このアルバムを引っ提げて行われる全国ツアー「THE SHOGO MUST GO ON」が9/1からスタートする。すべてアリーナ・クラスの大きな会場となるが、毎回チケットを入手するのが困難なほど根強いファンが多い。いうまでもないが、千葉・埼玉・静岡・神奈川はツアー前半に日程が組まれているので、行く人は今すぐアルバムをチェックすべきだ。
 彼がこの世に生を受けて、まもなく半世紀が経とうとしている。改めて彼の作品を初めから聴き返してみた。初期の頃の若さ故の勢いも好きだが、歳を重ねるにつれて、彼から発せられる歌や言葉にもますます重みが感じられるように思う。30年近く歌い続けて支持され続けることの難しさ、素晴らしさ。彼と彼のスタッフにリスペクトと感謝の意を込めつつ、これからも彼の歌を聴き続けるだろう。

Text by 谷口郁子(玉川高島屋店)

『SAVE OUR SHIP』
浜田省吾-J.jpg




CD
SME Records
SRCL-5140
¥2,913(税抜)
発売中

お待たせしました!5年ぶり待望のオリジナル・アルバムです。今回はサウンド的にも新しい試みとしてラップを上手く取り入れたイマっぽい曲もあり、往年の浜省ファンのみならず、若い世代にも聴きやすく仕上がってます。シングル5曲を含めた全12曲は絶対おトク!!初回盤のみスペシャル・ブックレット付き特別パッケージ。

【SHOGO HAMADA OFFICIAL WEB SITE】http://shogo.r-s.co.jp/

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