bird

ARTIST PICK UP

bird

"すべて溶かして、終わらない次の旅へと泳ぎはじめて"
ついに1人のアーティストとして羽ばたいたbird。
その翼にのせた思いとともに、新たな世界が見えてくる。新生bird第1弾シングル!

(初出『Groovin'』2001年8月25日号)

bird-A.jpg 早いもので、birdがデビューしてから約2年と半年。その間、シングル10枚、アルバム3枚(ライヴ盤含む)。なかなかのハイペース具合にも関わらず、そのクオリティの高さは皆さんもご存知のとおり。すでに"新人"から"中堅"になろうというのに、曲やパフォーマンスから発せられるオーラだとかヴァイブレーションが、デビュー当時と変わらない新鮮さや輝きを失っていないのには驚き!
 思えばbirdを初めて知ったのは99年3月。ちょうどデビュー・シングルが出た時期とほぼ重なる。その日僕は、渋谷は宇田川町にレコードを買いに出かけた。40分弱ある電車移動の暇つぶし用に、ある音楽雑誌を買って。車内でペラペラとページをめくっていくと、知っている顔の写真と名前。大沢伸一だ。そこには、彼が新しくレーベルを作り、第1弾アーティストとして日本人女性をプロデュースする、とのインタビュー記事が。しかもR&B。"へぇ、そうなんだ"、気にしつつも過剰な反応をすることなく渋谷を目指したが、帰りの電車の中、僕の持つレコード屋のビニール袋の中には、しっかりとbirdの1stシングル『SOULS』が入っていた…。
 長い前振りだったが、つまり僕がbirdを知るキッカケとなったのは、"アノ大沢伸一がプロデュース"というのが大、大前提としてあったということだ。そんなわけで、僕の中にはbird=大沢伸一(逆はナイけど)という式が固定観念としてあっただけに、今回の新曲『flow』のクレジットに大沢伸一の名前が無いばかりか、レーベル「RealEyes」から巣立ったと書かれた資料を読んだときは本当にビックリ!しかしクレジットには、1stツアー以来、ライヴ・サウンドの要となっている田中義人の名前が。もちろんバンドの面々も、ライヴ・アルバムでもお馴染みの方々がしっかりとサポート、とくれば、これはもう新生birdに何の心配がいるだろうか?もちろん、心配など無用だし、大沢氏の元を離れたということは、むしろbirdが独り立ち出来るレベルになり、自由に羽ばたける力を身につけたと考える方が至極自然ではないだろうか?
 新生birdの第1弾シングル『flow』は、ミディアム・テンポの楽曲に、アコースティック・サウンドや流麗なストリングスが絡むクール・サウダージが心地よい。まるで夕陽に赤く染まった空を海の中から見ていると、一羽の鳥がゆったりと飛んでいくように、birdの歌声が少し寂しい恋の物語を紡いでいく。作詞は以前からしており、その独特の言葉使いや表現は、セルフ・プロデュースに近い形となる今作以降も大きなポイントとなっていくはず。
 ついに1人のアーティストとして羽ばたいたbird。しかし、大沢氏に教わったのは、少しの経験と幾つかの飛びかたに過ぎない。これから先、どこに向かって飛んでいくのか?またbirdがどんな鳥に成長していくかは、とても楽しみなこと。でも僕にとってbirdはすでに、素敵な歌声と素晴らしい才能で感動を与えてくれる"幸せの青い鳥"であることは間違いない。

Text by 並木 仁(朝霞店)

『flow』 
bird-J.jpg




Maxi Single
SMEJ Associated Records
AICT-1323
¥1,165(税抜)
発売中

あうんの呼吸のごとく、そのチームワークは折り紙付きのバンド・サウンドに乗せ、birdの新しい挑戦が始まる。c/w「むかえに来たら」は、作詞・作曲ともにセルフ・ワーク。birdでしか成しえない世界が、シンプルなアレンジに上手く表現されている。

【bird official site】http://www.bird-watch.net/

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